小説「BLACK BLOOD BROTHERS」11巻【賢者転生】涙で視界にじんで読めない…。
「BLACK BLOOD BROTHERS」のことを書くのも、これが最後かと思うと、
書きたいような書きたくないような、複雑な気持ちです。
11巻自体、読みたいようなあんまり早く読んじゃもったいないような、
悶々とした思いで読んでました。
結局、先が気になるのでぶっ通して読みましたけどね。
おかげで寝不足です。
こんなぶっとい文庫、買ったのも初めてなら、2日間で読んだのも初めてだ。
いやそら薄っぺらい文庫なら1日で読みますけどね。
542Pですよ。
なんでも富士見ファンタジア文庫の歴代1位タイだそうで。
さもあらん。
これは好きじゃなきゃ読めない太さだよ。
※実は一週間前に読んで感想書きかけた(半分)のですが、月初が忙しくて
バタバタしていた為、続きが書けないまま今日に至ってしまいました。
後半加筆してUPします。
書きたいような書きたくないような、複雑な気持ちです。
11巻自体、読みたいようなあんまり早く読んじゃもったいないような、
悶々とした思いで読んでました。
結局、先が気になるのでぶっ通して読みましたけどね。
おかげで寝不足です。
こんなぶっとい文庫、買ったのも初めてなら、2日間で読んだのも初めてだ。
いやそら薄っぺらい文庫なら1日で読みますけどね。
542Pですよ。

なんでも富士見ファンタジア文庫の歴代1位タイだそうで。
さもあらん。
これは好きじゃなきゃ読めない太さだよ。
※実は一週間前に読んで感想書きかけた(半分)のですが、月初が忙しくて
バタバタしていた為、続きが書けないまま今日に至ってしまいました。
後半加筆してUPします。

前半は何度もうるっと来るシーンがあったのだけど、
終盤はもう泣けて泣けて文字が読めなくて困りました。
こんなに泣けるって、物凄い久しぶりというか、あんまり無いことです。
以前より涙もろくはなってますが、
小説でここまでどっぷり自分が入り込むっていうのはね。
やはりよほどキャラが活き活きしてて、描写が上手いんだと思う。
軽く順を追って、感じたとこをコメントしておきます。
まず本編導入前の、ジローの呟き読んでうるっと来た。
もう堪忍してください。
のっけから先生を恨んだよ。
朱姫のおかけで、一瞬で特区に飛んだミミコ。
彼女の「帰ってきたんだ」という思いを、一緒に味わいました。
危険が待ち受けていると分かってるけど、
それでも懐かしい地に足をつけた気持ちが、
凄く伝わってきました。
コタロウの、
「サユカさん、ゼルマンさんとミミちゃんとぼくの他にも友達いたんだね。
実はぼく、サユカさんって結構友達少ないんじゃないかって密かに心配
してたんだー」
に吹いた。コタロウったら、ほんとストレートなんだから。
すっかり南央美さんの声で聞こえてきて、あぁコタロウだぁぁって思ったよ。
コタロウを守ることは難しいから、いっそ引渡しちゃおうか、
降伏しようか、なんて思ったサユカの心臓が、
ドクンと脈打つのがイイ。
ここに限らず、サユカの中のゼルマンを感じるたび、泣けてきたわ。
彼を失ったことは未だ辛いのだけど、
サユカを叱咤したり、力を貸したり、
確かに彼がサユカと共に生きているのだと知らされるのが、嬉しくて。
ミミコが飛び出した後は、『キャッスル』は大変だったわけですが、
他の一切を顧みず、一心不乱に走り去ったミミコの背に、
彼女の元上司の姿を重ねた尾根崎。
『そして聞こえたのである。
すぐ耳元で。懐かしく、頼もしい、枯れた声が。
-会長、ご決断を。』
もー、まずここで視界ぼやけました。
亡くなった人の声が聞こえるとか、そういうのメッチャ弱いんだってば。
それも一緒に戦って来て志半ばで亡くなってしまった人とかだと
もろストライク。
陣内殺された時、滅茶苦茶、あざの先生恨んだ私ですもの。
これはキましたね。
おまけに数ページ後に、
『見てるか、張、陣内。
ちゃんと見ているか?』
なんてのもあって…
もぉっもぉもぉもおっ!
もう続き読めないじゃないかーっ!
と怒りながら読みました。
う…細かく拾ってたら、とんでもないことになりますね。
泣かされたところだけピックアップしようか…。
ってけっこうあちこちでウルウルしたんだけどさ。
うんでもね、私の涙はなにもミミコ達サイド達の為だけに
流れたわけではないの。
むしろ、九龍の血族(クーロン・チャイルド)のあの兄弟達ために
流しましたね。
10巻の感想にも書いたのですが、彼らの生まれた理由も、
彼らの事情も分かると、違うものが見えてくるじゃないですか。
彼らサイドから見れば、彼らはただ生きるために戦ってるのであって、
家族、兄弟たちの絆は強く、非情な彼らが末っ子ワインにはめろめろに
甘かったり、仲の良さは微笑ましくて、暖かく、そして優しくて。
そんなの見せられたらさ。
排除すべき敵だと思ってきたけれど、ほんとにそうなの?と疑問が沸くわけです。
彼らが互いを思いながら、守るために死んでいく姿に
涙を流さずにはいられなかった。
ラウの壮絶な死。
彼のことはね、私はとても憎んでいた。陣内の仇だもの。
なのに、家族を思って、文字通り身体を張って、自分の仕事をした。
爆破にリンスケが巻き込まれる心配よりも、
ラウのその所業に胸をもっていかれました。
ほとんど死んでる状態でありながら、
カーサを霧で包んで安全な場所に運んだナブロ。
アダムを庇って羅炎を受けて即死かと思われたザザが、
マーベリックの身体に入って
「お姉ちゃん」
とカーサの前に現れた時は、堪りませんでした。
マーベリックに『入った』時にはもう手遅れで、
『呼ばれ』た様な気がするって台詞にも泣けて。
そのマーベリックはヤフリーを逃がすために、
自らの生命力を削って魔力を行使していた。
カーサにもたれた弟の体がぱらぱらと崩れていくのも
眼に浮かぶようで…。
ザザのことも、アニメ見てる頃とか大嫌いだったんだ。
「人渡り」なんてずる過ぎるし、彼の存在が脅威だった。
だけど、彼の最期は切なくて。
『君は…高潔過ぎるから、僕には、まぶしくて…』
ひょっとして、カーサにちょっと惹かれていたりしたのかしらね。
そしてヤフリー。
ヤフリーもあんまり好きじゃなかったのよ。
だけど…。
カーサに念話を飛ばした後、カーサが駆けつけるまでのところで、
過去をチラリと書いてるのがイイ。
初めて知らされたリズとヤフリーの関係。
恋とも呼べない淡い思慕。
そしてリズの周囲の大人たちが魅力的に思えたこと。
彼女が愛した男も、その男の弟も、彼女の家族だという髪の長い女も。
それらを知った後で、今のヤフリーの状態を知ると、
更に泣けるわけですよ。
両足と右手が既に灰になった状態で、
ここまで守ったのはワイン。
唯一残った左手を、そっと彼女の頭に乗せてる。
『せめて彼女の見る悪夢から、彼女を守るように』
滝涙ですよ。ここ、ほんと続き読めなくなっちゃった。
きっと兄弟の誰であったとしても、出来る状況にいたら
(距離的にワインの近くにいたら)
同じように守ったことだろうけれど、
ヤフリーのワインへの思いは、先の過去話で
もうひとつ他の兄弟達とは違うと知れる。
リズの忘れ形見であるということ。
他の兄弟もリズを知ってるだろうけど、
ヤフリーの持つ感情とは違うだろうから。
余計な事は何一つ言わず、
「でかしたな、ヤフリー」
って言うカーサがまた良いんだ。
ううっ読み返したらまた泣けて来たじゃないかっくそう。
一番彼の喜ぶ言葉を、ちゃんと最期にあげるなんて。
それもいつものカーサらしい不適な笑みつきで。
「…へへ。当然…さ…」
ヤフリーの満面の笑みを浮かべて…そして…。
もう、なんて姉弟なんだ。
堪りません。
そして特区は解放された。
リンスケも大怪我しつつも無事と分かってほっとしたよ。
でもこのあたりから、眠り続けてるコタロウが目覚めたらジローは…
と思うと怖くて怖くて後ずさりしたくなった。
病院のコタロウとミミコの部屋にワインが来た時はドキリとした。
彼女が底知れない深淵のような眼差しをミミコに向けたってトコで、
あぁ一人になったんだなぁと思ったよ。
カーサはジローと対峙してる。
でもそれは死にに行ったようなもの。
カーサはジローとの戦いの中で逝きたかっただろうしね。
だからカーサの最期は、泣かずに済んだ。
彼女は満足していた筈だから。
仇を取ろうと思うなと妹に告げたカーサ。
理由は「ダサイから」。
カーサらしいです。
そしてワインは最後に姉から形見を貰った。
カーサの、九龍の血統の血を固化したものを。
それはミミコを怯えさせるに充分なもの。
恐怖するミミコ。
けれど彼女は思い出した、あの約束を。
-いつの日か君の前に罪なき『導主』の子が現れたとき…
ミミコが自分に出来ることはないのかとカーサに聞いた時、
カーサがこぼした言葉だ。
ミミコは調停員だから、九龍の血族であっても調停すべき対象だと、
そんな気持ちが沸いた時のやりとり。
ここもね、私もミミコと同じ思いだった。
確かに九龍の血族により多くの犠牲が生まれた。だけど…
『あなたたちが犯した罪とあなたの血族の尊厳は別のものだわっ』
ミミコ、さすがだ!と拍手したくなったよ。
導主の血が罪深い血なのは間違いないが、
『導主』の血だから悪い訳じゃない。
だから何か自分に出来ないか、と。
この時のカーサの台詞がまた良いんだよなぁ。
『いつの日か君の前に罪なき『導主』の子が現れた時、
その子の力になってやってくれ。
「九龍の血族」と「乙女」としてじゃなく、
どこにでもいるただの吸血鬼と
酸いも甘いも噛み分けたベテラン調停員として』
ミミコを認めてる台詞ですよね。
だからミミコはワインに勝負しようと言い出す。
九龍の血族の『導主』の血族が生きる場所を私が特区に作ると。
出来るかどうか世界のどこかで監視していろ、と。
出来なければワインがカーサの血を飲んで、九龍化すればいい。
その時は最初に自分の血を吸わせてやる。
自分が血族となって、ワインを第二の九龍王にしてあげる、と。
凄いなと思いました。ミミコ、ここまでやるとは思いませんでした。
更に未来の配下候補としては、悪くない人材だと売り込んですらいる。
参りましたわ。
カッコ良すぎるぜミミコ。惚れるわ。
そしてつかの間の平穏。
吸血鬼調停員の誕生とか、ジローとの軽口とか、
面白いんだけど、迫り来る結末が怖くて、ヒヤヒヤしながら読み進んだ。
最後の一年間長かったような短かったような。
でもそれはコタロウがミミコとジローの為に、
頑張って作った一年だったんだよね、きっと。
眠り続けたのは、時間を作るため。
でもそれももう限界が来てしまって…
だからこその言葉、
「ゴメン。ゴメンね。ぼく…もう…」
その時が来てしまった悲しみと共に、
コタロウが頑張ってたんだなって事を思い知って泣けました。
「馬鹿っ」
と叱れるミミコは凄いと思ったし、
確かにコタロウの事も愛しているのだなと思ったよ。
愛する男を奪われるわけですが、
奪って行くこの少年もまた、彼女の大事な家族。
「…兄者」
まだ自分を兄と呼んでくれるのかと喜ぶジロー。
うん、私もね、コタロウが「兄者」ってジローを呼ぶのが
大好きだったんだよ。
やっと三人揃って月見を夜明けまで楽しみ、そして…
とうとうジローは消えてしまったのですね。
ミミコは一日中小屋に籠もって泣いて…。
でも彼女を支えてくれる人は、たくさんいた。
そしてミミコは尾根崎から要請を受けて
『セカンドカンパニー』の代表となるわけですが、
なぜか就任は十ヵ月後。ええっそれってひょっとして!!と思ったら、
大当たりでした。
成長したコタロウを「兄者」と呼ぶ少年。
黒髪と黒い瞳でダンピール。
口調は父親とそっくりの堅苦しさ。
父を知らずに育ったくせに、血ですかね?
微笑ましいよ。
野暮で鈍感な吸血鬼は、一年前に告白して、
二人は結ばれていたのですね。
悲しい中にも、最後はほっこり胸が温まるラストでした。
ジロー、コタロウ、ミミコ…
大好きだったよ。
君たちの物語は終わっても、私の中ではずっと生き続けるでしょう。
懐かしい友達を思い出すように、
今頃どうしてるかな?なんて、きっと思ったりするんだ。
「あとがき」であざの先生が書いてるように、
ジローとミミコの子が、この先、サユカに助けられたり、
リンスケと旅先で出会ったり、ケインやセイが心配して追っかけてきたり
するんだろうな。想像すると楽しい。
そんな彼の姿を…、
書く気はないんですかーっ先生!!
番外編!とか言って、書いてくださいよーっ。
長い付き合いだったから、筆者もすぐにお別れが出来ないと書かれてましたが、
私もです…。
なので…カテゴリーは残しておこう。
終盤はもう泣けて泣けて文字が読めなくて困りました。
こんなに泣けるって、物凄い久しぶりというか、あんまり無いことです。
以前より涙もろくはなってますが、
小説でここまでどっぷり自分が入り込むっていうのはね。
やはりよほどキャラが活き活きしてて、描写が上手いんだと思う。
軽く順を追って、感じたとこをコメントしておきます。
まず本編導入前の、ジローの呟き読んでうるっと来た。
もう堪忍してください。
のっけから先生を恨んだよ。

朱姫のおかけで、一瞬で特区に飛んだミミコ。
彼女の「帰ってきたんだ」という思いを、一緒に味わいました。
危険が待ち受けていると分かってるけど、
それでも懐かしい地に足をつけた気持ちが、
凄く伝わってきました。
コタロウの、
「サユカさん、ゼルマンさんとミミちゃんとぼくの他にも友達いたんだね。
実はぼく、サユカさんって結構友達少ないんじゃないかって密かに心配
してたんだー」
に吹いた。コタロウったら、ほんとストレートなんだから。
すっかり南央美さんの声で聞こえてきて、あぁコタロウだぁぁって思ったよ。

コタロウを守ることは難しいから、いっそ引渡しちゃおうか、
降伏しようか、なんて思ったサユカの心臓が、
ドクンと脈打つのがイイ。

ここに限らず、サユカの中のゼルマンを感じるたび、泣けてきたわ。
彼を失ったことは未だ辛いのだけど、
サユカを叱咤したり、力を貸したり、
確かに彼がサユカと共に生きているのだと知らされるのが、嬉しくて。
ミミコが飛び出した後は、『キャッスル』は大変だったわけですが、
他の一切を顧みず、一心不乱に走り去ったミミコの背に、
彼女の元上司の姿を重ねた尾根崎。
『そして聞こえたのである。
すぐ耳元で。懐かしく、頼もしい、枯れた声が。
-会長、ご決断を。』
もー、まずここで視界ぼやけました。

亡くなった人の声が聞こえるとか、そういうのメッチャ弱いんだってば。
それも一緒に戦って来て志半ばで亡くなってしまった人とかだと
もろストライク。
陣内殺された時、滅茶苦茶、あざの先生恨んだ私ですもの。
これはキましたね。
おまけに数ページ後に、
『見てるか、張、陣内。
ちゃんと見ているか?』
なんてのもあって…

もう続き読めないじゃないかーっ!
と怒りながら読みました。
う…細かく拾ってたら、とんでもないことになりますね。
泣かされたところだけピックアップしようか…。
ってけっこうあちこちでウルウルしたんだけどさ。
うんでもね、私の涙はなにもミミコ達サイド達の為だけに
流れたわけではないの。
むしろ、九龍の血族(クーロン・チャイルド)のあの兄弟達ために
流しましたね。
10巻の感想にも書いたのですが、彼らの生まれた理由も、
彼らの事情も分かると、違うものが見えてくるじゃないですか。
彼らサイドから見れば、彼らはただ生きるために戦ってるのであって、
家族、兄弟たちの絆は強く、非情な彼らが末っ子ワインにはめろめろに
甘かったり、仲の良さは微笑ましくて、暖かく、そして優しくて。
そんなの見せられたらさ。
排除すべき敵だと思ってきたけれど、ほんとにそうなの?と疑問が沸くわけです。
彼らが互いを思いながら、守るために死んでいく姿に
涙を流さずにはいられなかった。
ラウの壮絶な死。
彼のことはね、私はとても憎んでいた。陣内の仇だもの。
なのに、家族を思って、文字通り身体を張って、自分の仕事をした。
爆破にリンスケが巻き込まれる心配よりも、
ラウのその所業に胸をもっていかれました。
ほとんど死んでる状態でありながら、
カーサを霧で包んで安全な場所に運んだナブロ。

アダムを庇って羅炎を受けて即死かと思われたザザが、
マーベリックの身体に入って
「お姉ちゃん」
とカーサの前に現れた時は、堪りませんでした。
マーベリックに『入った』時にはもう手遅れで、
『呼ばれ』た様な気がするって台詞にも泣けて。
そのマーベリックはヤフリーを逃がすために、
自らの生命力を削って魔力を行使していた。
カーサにもたれた弟の体がぱらぱらと崩れていくのも
眼に浮かぶようで…。
ザザのことも、アニメ見てる頃とか大嫌いだったんだ。
「人渡り」なんてずる過ぎるし、彼の存在が脅威だった。
だけど、彼の最期は切なくて。
『君は…高潔過ぎるから、僕には、まぶしくて…』
ひょっとして、カーサにちょっと惹かれていたりしたのかしらね。
そしてヤフリー。

ヤフリーもあんまり好きじゃなかったのよ。
だけど…。
カーサに念話を飛ばした後、カーサが駆けつけるまでのところで、
過去をチラリと書いてるのがイイ。
初めて知らされたリズとヤフリーの関係。
恋とも呼べない淡い思慕。
そしてリズの周囲の大人たちが魅力的に思えたこと。
彼女が愛した男も、その男の弟も、彼女の家族だという髪の長い女も。
それらを知った後で、今のヤフリーの状態を知ると、
更に泣けるわけですよ。
両足と右手が既に灰になった状態で、
ここまで守ったのはワイン。
唯一残った左手を、そっと彼女の頭に乗せてる。
『せめて彼女の見る悪夢から、彼女を守るように』

きっと兄弟の誰であったとしても、出来る状況にいたら
(距離的にワインの近くにいたら)
同じように守ったことだろうけれど、
ヤフリーのワインへの思いは、先の過去話で
もうひとつ他の兄弟達とは違うと知れる。
リズの忘れ形見であるということ。
他の兄弟もリズを知ってるだろうけど、
ヤフリーの持つ感情とは違うだろうから。
余計な事は何一つ言わず、
「でかしたな、ヤフリー」
って言うカーサがまた良いんだ。

ううっ読み返したらまた泣けて来たじゃないかっくそう。
一番彼の喜ぶ言葉を、ちゃんと最期にあげるなんて。
それもいつものカーサらしい不適な笑みつきで。
「…へへ。当然…さ…」
ヤフリーの満面の笑みを浮かべて…そして…。
もう、なんて姉弟なんだ。
堪りません。

そして特区は解放された。
リンスケも大怪我しつつも無事と分かってほっとしたよ。
でもこのあたりから、眠り続けてるコタロウが目覚めたらジローは…
と思うと怖くて怖くて後ずさりしたくなった。
病院のコタロウとミミコの部屋にワインが来た時はドキリとした。
彼女が底知れない深淵のような眼差しをミミコに向けたってトコで、
あぁ一人になったんだなぁと思ったよ。
カーサはジローと対峙してる。
でもそれは死にに行ったようなもの。
カーサはジローとの戦いの中で逝きたかっただろうしね。
だからカーサの最期は、泣かずに済んだ。
彼女は満足していた筈だから。
仇を取ろうと思うなと妹に告げたカーサ。
理由は「ダサイから」。

そしてワインは最後に姉から形見を貰った。
カーサの、九龍の血統の血を固化したものを。
それはミミコを怯えさせるに充分なもの。
恐怖するミミコ。
けれど彼女は思い出した、あの約束を。
-いつの日か君の前に罪なき『導主』の子が現れたとき…
ミミコが自分に出来ることはないのかとカーサに聞いた時、
カーサがこぼした言葉だ。
ミミコは調停員だから、九龍の血族であっても調停すべき対象だと、
そんな気持ちが沸いた時のやりとり。
ここもね、私もミミコと同じ思いだった。
確かに九龍の血族により多くの犠牲が生まれた。だけど…
『あなたたちが犯した罪とあなたの血族の尊厳は別のものだわっ』
ミミコ、さすがだ!と拍手したくなったよ。
導主の血が罪深い血なのは間違いないが、
『導主』の血だから悪い訳じゃない。
だから何か自分に出来ないか、と。
この時のカーサの台詞がまた良いんだよなぁ。
『いつの日か君の前に罪なき『導主』の子が現れた時、
その子の力になってやってくれ。
「九龍の血族」と「乙女」としてじゃなく、
どこにでもいるただの吸血鬼と
酸いも甘いも噛み分けたベテラン調停員として』
ミミコを認めてる台詞ですよね。
だからミミコはワインに勝負しようと言い出す。
九龍の血族の『導主』の血族が生きる場所を私が特区に作ると。
出来るかどうか世界のどこかで監視していろ、と。
出来なければワインがカーサの血を飲んで、九龍化すればいい。
その時は最初に自分の血を吸わせてやる。
自分が血族となって、ワインを第二の九龍王にしてあげる、と。
凄いなと思いました。ミミコ、ここまでやるとは思いませんでした。
更に未来の配下候補としては、悪くない人材だと売り込んですらいる。
参りましたわ。

そしてつかの間の平穏。
吸血鬼調停員の誕生とか、ジローとの軽口とか、
面白いんだけど、迫り来る結末が怖くて、ヒヤヒヤしながら読み進んだ。
最後の一年間長かったような短かったような。
でもそれはコタロウがミミコとジローの為に、
頑張って作った一年だったんだよね、きっと。
眠り続けたのは、時間を作るため。
でもそれももう限界が来てしまって…
だからこその言葉、
「ゴメン。ゴメンね。ぼく…もう…」
その時が来てしまった悲しみと共に、
コタロウが頑張ってたんだなって事を思い知って泣けました。
「馬鹿っ」
と叱れるミミコは凄いと思ったし、
確かにコタロウの事も愛しているのだなと思ったよ。
愛する男を奪われるわけですが、
奪って行くこの少年もまた、彼女の大事な家族。
「…兄者」
まだ自分を兄と呼んでくれるのかと喜ぶジロー。
うん、私もね、コタロウが「兄者」ってジローを呼ぶのが
大好きだったんだよ。
やっと三人揃って月見を夜明けまで楽しみ、そして…

ミミコは一日中小屋に籠もって泣いて…。
でも彼女を支えてくれる人は、たくさんいた。
そしてミミコは尾根崎から要請を受けて
『セカンドカンパニー』の代表となるわけですが、
なぜか就任は十ヵ月後。ええっそれってひょっとして!!と思ったら、
大当たりでした。
成長したコタロウを「兄者」と呼ぶ少年。
黒髪と黒い瞳でダンピール。
口調は父親とそっくりの堅苦しさ。
父を知らずに育ったくせに、血ですかね?
微笑ましいよ。
野暮で鈍感な吸血鬼は、一年前に告白して、
二人は結ばれていたのですね。
悲しい中にも、最後はほっこり胸が温まるラストでした。
ジロー、コタロウ、ミミコ…
大好きだったよ。
君たちの物語は終わっても、私の中ではずっと生き続けるでしょう。
懐かしい友達を思い出すように、
今頃どうしてるかな?なんて、きっと思ったりするんだ。

「あとがき」であざの先生が書いてるように、
ジローとミミコの子が、この先、サユカに助けられたり、
リンスケと旅先で出会ったり、ケインやセイが心配して追っかけてきたり
するんだろうな。想像すると楽しい。

そんな彼の姿を…、
書く気はないんですかーっ先生!!

番外編!とか言って、書いてくださいよーっ。
長い付き合いだったから、筆者もすぐにお別れが出来ないと書かれてましたが、
私もです…。
なので…カテゴリーは残しておこう。
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