「絶園のテンペスト」#14【あけましておめでとう】別アニメみたいになりましたね。
なんかガラリと変わって別アニメみたいでしたね。
でも別に面白いからいいや。
原作が気になってるので
BOOK OFFで探しましたが
無いのよね~中古。
もうしばらく探してみますが。
PCが相変わらず不調で、
やっぱり今回もUP遅くてごめんなさいです。
※原作未読のくせに勝手にあれこれ想像して書いてます。
決して正しい回答ではありませんので
適当に流してくださいませ。
原作既読の方は、「そうじゃねーよ」と思われても
放置してやってください。
今はまだ、ネタバレ見たく無い気分なので。
宜しくお願い致します。
でも別に面白いからいいや。
原作が気になってるので
BOOK OFFで探しましたが
無いのよね~中古。
もうしばらく探してみますが。
PCが相変わらず不調で、
やっぱり今回もUP遅くてごめんなさいです。
※原作未読のくせに勝手にあれこれ想像して書いてます。
決して正しい回答ではありませんので
適当に流してくださいませ。
原作既読の方は、「そうじゃねーよ」と思われても
放置してやってください。
今はまだ、ネタバレ見たく無い気分なので。
宜しくお願い致します。
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絶園のテンペスト公式HP
前回OPは無かったので、2クールめのOPやっと来ましたね。
「大好きなのに」Kylee
アマゾンのリンクはまだないな。
個人的には1クールめの曲が凄い好きだったので残念ですが
2クールめから物語の雰囲気変わるみたいだから
この曲で合ってるのかも。
映像の方も、葉風とあちこち旅してるっぽい吉野。
二人でずっと一緒ですかー。
前回ラストの左門の台詞が響きますな。
お、めぐむと真広がバトってる。
でも魔法使いでもない真広が、軽くかわしてるじゃないか。
おい、ほんとにキミ、絶園の魔法使いなのか?
いやー、こうしてOP映像見てても別アニメみたいですね。
ま、これはこれで良いけど。
左門はずっとポニテがいいな。
お、哲馬じゃん。
ここに出てくるってことはも生きてるのか。
てっきり死んだとと思ったよ。
この表情かわいいな。
葉風が舞を踊ってる?
えーっなんか戦隊モノみたいの出てきたよ。
何が何やら…。
「不破真広、お前は滝川吉野を殺せるか」
はい、先週最後の問題発言キタよ。
一瞬驚いた真広が、不適に笑う。
「なんだよそれ、ジョークにしても笑えねぇ」
左門はこういう冗談言うタイプじゃないですよ。
それについてはおいおい説明するとして、
まずは着替えるよう言われる。
真広の身体、ほっそいなー。
でも今時の子っぽい。
開いたはずの腹の穴はなく、
跡すらない綺麗なもんです。
ついでに古傷や骨折痕も治してくれたってさ。
便利だねぇ魔法。
今日は1月1日だそうで。
だからタイトルが「あけましたおめでとう」ですか。
吉野は葉風と愛花の墓参りに来てる。
正月早々の墓参りは珍しいですか?
うちは2日に家族で集まりますが、弟夫婦も妹夫婦も
実家行く前にお墓寄ってきたっていってましたよ。
自宅か実家までの途中にあるってこともありますが。
私は反対方向なので、三回忌の時しか行かなかったけどね。
葉風がちょっと暗いね。
2年後の世界。
ほんとなら、葉風が迎える筈の無かった正月です。
感慨深いわけね。
「お前のおかげだ」
「えっ?」
聞き返されて葉風は赤くなり、
真広とお前の、と言い直す。
可愛いなぁ。
こちらは真広と左門。
はじまりの樹がどう世界を変えたのか
それを確かめるため、葉風はあちこち回ってる。
そして同行を許したのは吉野だけだったらしい。
随分気に入られたものだと真広が笑う。
でもそれが笑い事では済まない火種となってるそうだ。
廊下を歩いてた二人がリビングのドアを開けると
「待ぁってたのよぉ~」
手をむにむに動かして、山本が笑顔で歓迎。
「さっ座って座ってー」
くつろいでますねーまるで自分の家みたいではないか。
いつの間にそういうことになった。
早河も居るし…。
夏村の姿を認めて真広はハッとする。
夏村は礼儀正しく真広に会釈なんかしてますけどね。
「楽しげなメンツだな」
夏村は左門が命じぬ限りは静かな男。
静かなのはいいけど、声を聞かせてよー。
テーブルには、立派な御節。
あー、こんなの見ると私もまた一杯やりたくなるじゃないか。
早河と真広は一応初対面になる。
早河はモニターで真広のことは見てたけどね。
そうか、早河は降格したのね。
今では黒鉄病関連の統計資料作成係りですか。
で、絶園の魔法使いの噂をネットに流したりしてる、と。
絶園の魔法使いは本当にいるのか。
それはまだ誰にも分かってはいないのね。
でもあぶりだすためにやっている。
実在するなら新たな混乱を避けるため、
いち早く探して自分達の管理下におかねばってことらしい。
玉子焼き、美味しそうね。
その絶園の魔法使いらしいもめぐむは
振られた彼女がメールの着信まで拒否ってて
落ち込んでます。
めぐむはバスの窓から街のビル群と並んで生えてる
大樹を見つめながら考えていた。
樹が現れた時、大きな犠牲が払われたが
それから確かに世界は平和になった、と。
へぇ、樹のことを崇める人たちまて現れてるのね。
しかしその一方、その樹を倒し、この世界を救う
絶園の樹の魔法使いが居るという噂も
日毎に広まっている。
あらそう。早河がんばってるんだな。
-なんとなく皆、感じてるんだ。
僕らは樹に支配されてしまった、って。
吉野は愛花の墓前で、胸中で報告してる。
愛花を殺した犯人を捜す旅だったのに、
今ではとんでもなく大げさなことになっている、
世の中は随分変わった、と。
葉風が不意に、愛花はどんな娘だったのかと訊く。
「えーと…ほら!あの真広の妹ですから…」
それ、あんま答えになってないっしょ。
血も繋がってないんだし。
まぁそのわりに似たとこはあったけど。
「タチが悪そうな娘ってことか」
自分で振ったくせに、
そんな風にいわれれば、
吉野は気づいた顔で俯く。
「悪かったですね」
思い切り身内の反応だね。
愛花の彼氏に自分も一度会わせてくれと
葉風が改めて言う。
「あの真広の妹と隠れて付き合うとは
なんとも命知らずなヤツだ。
顔が見てみたい」
見てますけど、今。
-僕がその命知らずな彼氏なんですけどね。
ぷぷぷ。
ここの吉野の表情と、内山さんの言い方が絶妙でいいわー。
また改めて謝罪に来ると、葉風が愛花に話しかける。
死なせたのは自分かもしれないから。
「いや…私は、
いったいどれだけの命を犠牲にしてしまったのだ」
落ち込む葉風をそっと見ている吉野が
やさしげだな。
めぐむは考えていた。
富士に現れたのが本当に絶園の樹だというなら
完全に復活させれば世界が元に戻るかもしれない。
-僕がやれるのかな。
手の上に回転カッターの刃のような
赤いエネルギー体を生み出し浮かべる。
-でもそれが出来たら、
彼女が戻って着てくれるかもしれない。
ほんと笑えるよねぇ、この作品の若者たち。
世界の命運は、彼女、彼氏の件のついでなんだもの。
吉野が生まれ育った街を歩くというのは
葉風にとっても意味深いかもね。
吉野の思い出の詰まった街。
でも吉野は思い出したくないことの方が多いという。
葉風の足が止まって、吉野が振り向くと
落ち込んだように目を伏せてる葉風が居た。
今の葉風は誰よりはじまりの樹の力を恐れている。
吉野と真広が倒れた後、絶園の樹を抑え
はじまりの樹の動きを彼女は止めた。
葉風のせいじゃない。
こんなことになるなんて誰も予想できないと
吉野が葉風を慰める。
優しいのな、吉野は。
吉野は眠っていたから
実感として分からないだろうと葉風は言う。
たった7日。
破壊の跡がわずかに残るだけで
一週間で世界の大半が元に戻った。
金属化した死体も、はじまりの樹が吸収して消え去り
社会生活にも問題がなくなったらしい。
え…でも死体を吸収したってことは
やっぱり死んだ人は死んじゃったわけで
いくつか街ごとやられてるんだから
その数は膨大ですよね。
死体が消えて、見た目クリーンになっただけで
元に戻ってないよね。
葉風はたった7日で元に戻ったことに
むしろ恐怖を抱いている。
はじまりの樹の力を見誤っていた、と。
ただ一部が目覚めただけでこれだけの事が起きたのだから
完全覚醒すればどうなるのか。
「中途半端に目覚めたせいで
変に犠牲が出たのかもしれませんよ」
優しいなぁ吉野は。
見れば見るほど何が正しいのか分からなくなる。
心細さからか葉風の指が吉野の服の袖をつまむ。
ふふ、年相応の女の子らしい行動だ。
葉風がこういうことするの、きっと初めてだろうけど。
「お前の故郷も友人達も、こうして奪ってしまった。
他にもきっと…」
葉風が奪ったわけではないけど
はじまりの樹の姫としては、責任感じるわね。
こんなシチュなら、女慣れしてる子なら、
ギュッとハグしてやる所だろうけど
吉野ですからね、葉風の背に手をそっとかける程度で
「ここを離れましょう」
何を言っても気休めにしかならないものね。
余計なこといわないのも優しさだな。
「お正月なんですから。美味しい物でも食べましょうよ」
そう、落ち込んでる時には、
暖かくて美味しいもの食べると
少し元気出るよね。
「葉風が吉野に惚れた!?」
わー、真広がめっさ驚いてるー。
吉野だけ同行許したって時点で、想像つくだろが。
つかないのか真広は。
そっち系だけ鈍ちんなんだな。
じゃあやっぱ、ほんとに愛花と吉野の関係分かってないのか。
実は分かってるっぽいリアクション、
これまでに何度か見かけたけども
あれはそうじゃなかったのね。
あっ運転手は哲馬だ。
お元気そうでなにより。
「それがどういう感情であるか、
おそらく姫様は気づいてないだろう。
姫様はあれで、箱入り娘なのだ」
あれで、ね。
そう、ジャジャ馬さんだけど、
世間ずれはしてるのよね。
はじまりの樹に守られた姫宮。
だからこそあの富士山麓での窮地は、
彼女が初めて味わった逆境だった。
「お前がその状況に落とし込んだんだけどな!」
「そこを救ったのが、滝川吉野だ」
「…スルーかよ」
ぷぷぷ。
葉風さえ絶望した状況に果敢に立ち向かい
見事、道を切り開いた彼は
彼女にとって初めての
頼れる男だったというわけです。
「惚れん方がおかしい」
ですねー。
だとしても、ではそれが何故、
真広に吉野を殺せという話になるのか…。
こちらは電車で移動中の吉野と葉風。
葉風は旅に出たもう一つの目的を
吉野に打ち明ける。
絶園の樹を完全に復活させるには、
残りの果実を吸収させねばならない。
その所在を確かめるためにも
各地を回る必要があるってことらしい。
「葉風さん…」
「万一のためだっ」
葉風がぷいっと横を向く。
「姫様は揺れておられる」
揺れてるのは山本の胸じゃなくて?
これ、わざと被せてますよね。
カメラはお参りしてる山本の胸元映したりして。
自分の力を恐れ、
この先どうするべきか、葉風は迷ってる。
吉野の意見が今後大きく左右するだろうと
左門は懸念しているわけか。
吉野がはじまりの樹を覚醒すべきと言えばそうなり、
すべきでないと言えば、葉風はそうするだろう。
「惚れた弱みってヤツか」
「心を奪われるとは、そういうことだろう?」
まぁそうですが。
でも左門もそのあたりの経験は浅そうね。
「いまや姫様は、
滝川吉野中心に物事を考えているのだ」
「つまり、世界の命運は、
吉野が握っちまったってことか」
ちょっと面白くなさそうな顔ね、真広。
吉野達は尾の水に着いたようですね。
尾の水って、架空の町?
尾道かな。
駅で葉風がトイレに行くため離れると
「御免…ちょっといいかな」
めぐむが吉野に声をかけました。
-なっておらん…。
また吉野の前で情けないところを
見せてしまった。
ふふ、葉風ったら。
頼れる、好きな男の前だからこそ
素になれるってものですよ。
今のキミで正解なんだよ。
-そもそも吉野が私に従う義理も既にない。
未だ巻き込み、
余計な負担ばかりかけているのも
反省せねばならん。
でも傍にいて欲しいんでしょ?ふふ。
-いや、吉野も吉野だ!
あやつは人が良すぎる!
断るべき所は断れ!
そんなんだから私や真広に振り回されて
ひどい目に遭うのだ!
ぷぷぷ。責任転換してやがる。
でも葉風、あばたもえくぼになってますよ。
吉野はただ人が良いわけじゃなく
したたかな男だってこと、
貴女知ってた筈じゃないの。
貴方達に振り回されたのは事実かもだけど
吉野は自分で飛び込んだんですから。
真広はちゃんと遠ざけようとしたのよ。
貴女は知らないでしょうけどね。
真広より吉野の方が、ずっと計算高いわよ。
それも知ってる筈ですけどね、貴女。
-聞けばあやつ、彼女も居るというではないか。
私につき従ってる場合ではなかろう。
振られても知らんぞ!
うらなりめ!
あははは。
もぉおもろいわー葉風。
-しかし、吉野ほどの男の彼女だ。
良く出来た娘なのだろうな。
うわっ寂しそう~。
だがさすが姫様。
-ふんっ!私の知ったことか!
翻弄されてるなぁ。
ふふふ。
めぐむは目的地への行き方を訊ねていたのね。
でもそんなやりとりを遠目にみた葉風、
スッと眼光が鋭くなり、助走つけていきなり
足でめぐむの顔、蹴ったぁぁぁぁぁ!!
女の子は普通そういうことやりませんよ葉風ぇ。
その跳躍は素晴らしいが。
あぁでもこういう役、似合いすぎるわ梶さん。
めぐむは後方に吹っ飛びました。
呆気に取られてる吉野に、
「誰だ、あの男は!」
「えっ誰って!? 知らないのに蹴ったんですかっ!?」
胸騒ぎがしたからだってさ。
姫様に取っては、蹴るに十分の理由らしい。
そーですよねー。
「まずかったか?」
けろっと訊かれた吉野は、はぁと溜息を落とし
「まぁ仕方ありませんか」
-し、仕方無いんだ!?
ここのめぐむが笑えるー。
ご愁傷様、相手が悪いです。
吉野は乗り換えを訊かれていただけ。
めぐむは富士山目指してるのよね。
「はぁ?貴様は馬鹿か!?」
初対面で貴様呼ばわり、馬鹿呼ばわり。
めぐむ、ほんと相手悪かったって。
富士山麓はいまや立ち入り禁止です。
いわれてめぐむはしょぼんとうな垂れ、
両手を胸の前でコネコネ。
あの地に残った絶園の樹は
異変の原因のひとつと見なされて
許可されたもの以外は接近を禁じられてる。
また、周囲に葉風が半永久的な結界を張っており
各国から送り込まれた調査団も
絶園の樹に接触は出来ていない筈。
あ、調査団の一人で鎖を拾いましたね。
これは果実につながってた鎖かな。
何かの伏線かしら。
立ち入り禁止になってることは
流石にめぐむも知っている。
でもいかないといけない、というか…と
めぐむは立ち上がり、尻の砂を払いながら
言葉を濁す。
「あの…絶園の魔法使いの噂って知ってます?」
これには吉野と葉風も顔を見合わせる。
知ってるどころか、噂流してる張本人も知ってる。
それを聞いてめぐむは驚き、
でもそれなら話は早いと、二人の目の前で魔法を見せる。
「とにかく、僕がその
絶園の魔法使いみたいなんですよ」
これには吉野、葉風も息を呑みました。
で、ハンバーガーショップで、
話をすることにしたのね。
「いつその力に気づいた?」
葉風の言い方が威圧的で、
めぐむがちょい怯え気味ですよ。
気づいたのは一年くらい前。
急に身体から変な力が出せるようになり
絶園の樹が現れるようになった頃から
もっと強くはっきり使えるようになったのだと言う。
一年前といえば、左門が絶園の樹復活を本格化させた頃。
タイミングは合ってるようですね。
そこに絶園の魔法使いの噂を知って
このための力だとめぐむは思ったのだが
違うのかと逆に訊ねる。
「違うと言えば信じるのか?」
「えーと…困ります」
しょぼん。
「困るな!貴様の力は、この店まるごと半瞬で
消し去れるほどのものだぞ」
怖っ。
「うえっ!?」
自覚は全く無しですよ。
まぁ葉風のようにそういう環境で育ったわけじゃなく
ある日突然、力を得ただけなのだから
そりゃそーですよ。
世の理さえ砕く力を持ってるのにと、
葉風にしたら歯がゆいとは思うけどね、
あんま責めてやるな。
そう硬くならず、食べたらどうだと食事を勧めますが
めぐむが手を伸ばすとハンバーガーの前に結界。
そこにある筈なのに掴む事が出来ません。
おいおい、葉風ったら。
「貴様、魔法使いは自分一人だけだと思うか?」
絶園の樹側の魔法使いが居るなら
今この世界を支配している樹の側の魔法使いも居る筈。
「それが私だ」
あっさり告げましたね。
「うっ嘘っ!」
予想通りのリアクションだなぁ。
思わず立ち上がって驚いてるよ。
そしてそんなめぐむに、葉風は提案する。
魔法使い同士、手合わせをしてみないか、と。
こちらは参拝中の左門達。
吉野を殺せって話の続き、
まだ続いているんだったわね。
幸い吉野は葉風の恋心にまだ気づいておらず、
世界の命運を握った自覚もない。
だが吉野は、何かしら信じる事があれば
あらゆる物を犠牲にして突っ走りそうな怖さがある。
何かあれば、彼は迷わず葉風の背中を押すだろうと
左門は感じている。
「だから!そうなる前に
吉野を殺して排除しようってのか?」
真広の声がちょい怖い。
「そうならぬよう協力を頼んでいる」
早河が左門の前に庇うように立ったのは
真広が左門に噛み付くと思ったからかな。
「長い付き合いだと聞いた」
小学生の頃からですから、そりゃ長いですよ。
でも吉野が真広を知るほど
真広は吉野のことを分かってないよ多分。
溜め息混じりにわしゃわしゃと頭かいた真広が、
ふと気づいて立ち上がる。
「吉野の彼女は!?そっちは、無事なんだろうな?」
真広、優しいわね貴方。
そこを心配するなんて。
「そう聞いている。関わらせたくないのか
名前ひとつ教えてくれんがな」
教えれる筈もないけどね。
好きな女が生きているなら吉野も無茶はしないだろうと
真広は思う。
-心配ねぇか。
そんなに心配ですか、吉野のこと。ふふ。
真広達の会話を少し離れて聞いていた山本が
意味深な視線を向けてる。
その表情で分かったよ。
貴女、知ってるんだね。
彼女の事は誰にも話さないでくれと
山本に教えた上で、吉野は口止めしてたのね。
エレベーターの中で2人だけの時のやりとり。
葉風と旅に出る前に、そう言い置いたようです。
知ってる人が増えると、真広の耳にうっかり入る可能性が
高くなる。
『この状況で知られると、いかにも面倒でしょ』
そう言って振り返り、吉野は少し笑った。
山本も、確かには今は誰も知らない方がよいかも知れないと
考えている。
ただそんな吉野の心のうちは実際どうなっているのか。
うん…それが怖いんだよ。
「吉野対策に手を貸すぜ」
真広は飲み終えた缶コーヒーの缶をぐしゃりと
握りつぶした。
それ、アルミ缶?
缶コーヒーって結構スチール缶だよね。
スチール缶は男性でも握りつぶせないよね…。
その代わり、左門達は愛花を殺した犯人を見つける
条件をつけた。
「その取引でいいか」
取引なんだ。ぷぷ。
「分かった。あんたらの思い通りに動いてやるよ」
-吉野も恩に着ろよ。
ついでにお前を守ってやるよ。
ふふふ、ついでですかー。
キミにとって吉野は、
愛花 > 吉野 > 世界
って位置ですよね。
真広が離れると、早河が左門に訊く、
いつまで真広に隠しておくか、と。
いずれ真広も気づくだろうと左門。
「滝川吉野が、絶園の魔法使いである可能性に」
ええー、なんでそうなるわけ。
第一、もうめぐむが居るし。
まぁ左門達は知らないわけだが。
どこかの学校のグランド。
サッカーコートを拝借して、
葉風とめぐむが手合わせをするようです。
いきなり手合わせなんて危なくないかと
吉野が心配しますが、
めぐむがどれほどの力と知識を持っているか
結局、魔法を使わせてみないと分からない。
「それに、人を殺せるかどうかもな」
虫も殺せなさそうですよ、このヘタレ君。
はじまりの姫宮が負けるようなら
この世でめぐむに勝てる者は居ない。
だから案ずるなと葉風は言うが…。
え…、私、吉野はめぐむの方の
心配をしてるんだと思ったけど、違うのか?
ルールは簡単。
魔法を使って葉風の片膝でも地面に付けさせたら
めぐむの勝ち。
勝てばめぐむの知りたいことは全て教えてくれるってさ。
そしてめぐむの腕の片方でも逆方向に曲がったら
めぐむの負け。
うわー、めぐむ、フリーズしてるぞ。
葉風は弾丸を供物とし、魔法を展開。
防御フィールドと同時に攻撃用の触手うにょうにょ。
器用だなぁ。
めぐむは早速ひっくり返りました。
あー、この触手は防御フィールドの変形なのね。
別物ではないわけか。
めぐむ、こてんぱんではないか。あーあ。
でももし、めぐむが本物なら、
これくらいの魔法はたやすく破壊出来るはず。
-貴様に私を殺し、この世の理を変える力はあるのか。
さてこちらは左門達。
吉野の疑惑についてね。
吉野ははじまりの樹の理から
ことごとく外れた結果をもたらしている。
彼が富士に居なくても、葉風は現代に戻り得た。
鎖部一族の中に愛花を殺した犯人は見つからなかった。
その時点で、吉野が居ようが居まいが
葉風は絶園の魔法使い犯人説を導き出せた筈。
そうなれば真広は再度葉風と手を組み、
独力で時間の檻を破る方法を見つけるか
あるいは魔具を発動させるかして、
葉風を戻す選択をした筈。
「はじまりの樹はあの少年を必要としなかった。
逆にあの少年によって、はじまりの樹に不利な現状が
もたらされたのだ」
ふむ、確かにね。
お、めぐむが防御してるではないか。
上手く使えるようになってきたか?
-そうだ!魔法だ!
僕は魔法が使える。
あの人は確かめようとしてるんだ。
僕に世界を救う力があるか。
この先、戦う覚悟があるか。
あの人は多分、敵じゃない。
めぐむは深呼吸して、身を引き締める。
やれる気がしてきたようです。
遺伝子に組み込まれていたものが
次々と目覚めているような感覚を感じている。
「いきます!」
力いっぱい、走り出しました。
おー、葉風の触手を
それはもう通じないと、
回転赤カッター(勝手に命名)で切ってるー。
やるじゃないか。
そしてついには葉風の防御フィールドを破壊!?
防御で止めようとした葉風の右腕が塵となったよー。
ひぃえ~っ!!
凄いのは葉風が顔色ひとつ変えてないこと。
やっちまった本人が、腰抜かしてるのにね。
どうしようと手で顔を覆うめぐむに、
うろたえるなと葉風が一喝。
「この私が腕一本、再生出来んと思うか?」
す、すいません。
そうでしたね。
もうほとんど死んでる吉野の命すら
この世に留めたのですものね。
「肉が散ったぐらいで取り乱すな、軟弱もの」
いや普通は取り乱すってばよ。
で、不意打ちで触手ぱーんち。
空高く飛ばされためぐむは、落下して腕が…。
本当に逆方向に曲がったよ。
葉風は最初から、砕けたら再生する魔法を
かけていたらしい。
めぐむの反応を見るために。
あぁ、じゃあわざとやられたのか。
「力は確かに絶園のものだ。
だが、こやつに人は殺せんな」
あらゆる物を破壊して揺るがぬ絶園の心を
めぐむが持つとは思えない。
葉風はそういい、気絶しているめぐむの腕を
魔法で直してやる。
左門はまだ吉野の説明をしてましたか。
吉野はあえて状況を複雑にし
それらが何故か解決される異常性を突きつけ
はじまりの樹への不信感を葉風に抱かせた。
「そして…」
「その心まで奪っていった」
はじまりの樹の物語を狂わせその理を曲げた
イレギュラーな存在など、絶園の魔法使い以外、
まず考えられないというのが左門の見解。
吉野が絶園の魔法使いならば、
見事な仕事をしていることになる。
魔法を使わずに、はじまりの樹の理を歪め
その命運をほぼ握って見せた。
そんな風に早河と左門が話しながら車から降りると
先に駐車場に着いて待っていた山本の携帯が鳴った。
だが吉野が絶園の魔法使いなら
愛花を殺したのも吉野ということになる。
そこまでいいきれるだろうかと思案顔の左門に、
「ちょっといい?」
山本が戸惑った声で声を掛ける。
電話は吉野からだったようです。
「絶園の魔法使いが見つかったけど
そっちに寄越していいかって」
左門、憶測が外れましたね。
さぁどうします?
ED~♪
予告
来週はまた面白そうですね。
ぷぷぷ。
◆グッズ
前回の感想
#1
「絶園のテンペスト」#1【魔法使いは、樽の中】狂気な豊永さんが新鮮。
#2
「絶園のテンペスト」#2【彼女はとてもきれいだった、と少年は言った】
真広、ひょっとして知ってたりする?
#3
「絶園のテンペスト」#3【できないことは、魔法にもある】
クセになってきました。
#4
「絶園のテンペスト」#4【罰あたり、ふたり】
ちびの頃から全然変わってないのな、この2人…。
#5
「絶園のテンペスト」#5【全てのことには、わけがある】
どうなってるのーっ!?
#6
「絶園のテンペスト」#6【矛盾する、頭蓋】真広がいとしい…。
#7
「絶園のテンペスト」#7【ファースト・キス】
吉野さんと合うのは真広みたいなのです。ぷぷぷ。
#8
「絶園のテンペスト」#8【魔女を断つ、時間】衝撃的な事実…。
#9
「絶園のテンペスト」#9【彼氏】真広はつくづく面白いキャラ。
#10
「絶園のテンペスト」#10【タイムマシンのつくり方】
今回も笑わせて頂きました。
#11
「絶園のテンペスト」#11【時の娘】それは愛花のことかい?
#12
「絶園のテンペスト」#12【しばし天の祝福より遠ざかり……】
おいこら、こんなところで年越え!?
#13
「絶園のテンペスト」#13【夢の理】2週間待ったのに、これだけ?(泣)
※現在右クリックは利かない設定になってますので、
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前回OPは無かったので、2クールめのOPやっと来ましたね。
「大好きなのに」Kylee
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この曲で合ってるのかも。
映像の方も、葉風とあちこち旅してるっぽい吉野。
二人でずっと一緒ですかー。
前回ラストの左門の台詞が響きますな。
お、めぐむと真広がバトってる。
でも魔法使いでもない真広が、軽くかわしてるじゃないか。
おい、ほんとにキミ、絶園の魔法使いなのか?
いやー、こうしてOP映像見てても別アニメみたいですね。
ま、これはこれで良いけど。
左門はずっとポニテがいいな。
お、哲馬じゃん。
ここに出てくるってことはも生きてるのか。
てっきり死んだとと思ったよ。
この表情かわいいな。

葉風が舞を踊ってる?
えーっなんか戦隊モノみたいの出てきたよ。
何が何やら…。

「不破真広、お前は滝川吉野を殺せるか」

一瞬驚いた真広が、不適に笑う。
「なんだよそれ、ジョークにしても笑えねぇ」
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まずは着替えるよう言われる。
真広の身体、ほっそいなー。
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開いたはずの腹の穴はなく、
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ついでに古傷や骨折痕も治してくれたってさ。
便利だねぇ魔法。
今日は1月1日だそうで。
だからタイトルが「あけましたおめでとう」ですか。

吉野は葉風と愛花の墓参りに来てる。
正月早々の墓参りは珍しいですか?
うちは2日に家族で集まりますが、弟夫婦も妹夫婦も
実家行く前にお墓寄ってきたっていってましたよ。
自宅か実家までの途中にあるってこともありますが。
私は反対方向なので、三回忌の時しか行かなかったけどね。
葉風がちょっと暗いね。
2年後の世界。
ほんとなら、葉風が迎える筈の無かった正月です。
感慨深いわけね。
「お前のおかげだ」
「えっ?」
聞き返されて葉風は赤くなり、
真広とお前の、と言い直す。
可愛いなぁ。
こちらは真広と左門。
はじまりの樹がどう世界を変えたのか
それを確かめるため、葉風はあちこち回ってる。
そして同行を許したのは吉野だけだったらしい。
随分気に入られたものだと真広が笑う。
でもそれが笑い事では済まない火種となってるそうだ。
廊下を歩いてた二人がリビングのドアを開けると
「待ぁってたのよぉ~」
手をむにむに動かして、山本が笑顔で歓迎。
「さっ座って座ってー」
くつろいでますねーまるで自分の家みたいではないか。
いつの間にそういうことになった。
早河も居るし…。

夏村の姿を認めて真広はハッとする。
夏村は礼儀正しく真広に会釈なんかしてますけどね。
「楽しげなメンツだな」
夏村は左門が命じぬ限りは静かな男。
静かなのはいいけど、声を聞かせてよー。
テーブルには、立派な御節。
あー、こんなの見ると私もまた一杯やりたくなるじゃないか。
早河と真広は一応初対面になる。
早河はモニターで真広のことは見てたけどね。
そうか、早河は降格したのね。
今では黒鉄病関連の統計資料作成係りですか。
で、絶園の魔法使いの噂をネットに流したりしてる、と。
絶園の魔法使いは本当にいるのか。
それはまだ誰にも分かってはいないのね。
でもあぶりだすためにやっている。
実在するなら新たな混乱を避けるため、
いち早く探して自分達の管理下におかねばってことらしい。
玉子焼き、美味しそうね。
その絶園の魔法使いらしいもめぐむは
振られた彼女がメールの着信まで拒否ってて
落ち込んでます。
めぐむはバスの窓から街のビル群と並んで生えてる
大樹を見つめながら考えていた。
樹が現れた時、大きな犠牲が払われたが
それから確かに世界は平和になった、と。
へぇ、樹のことを崇める人たちまて現れてるのね。
しかしその一方、その樹を倒し、この世界を救う
絶園の樹の魔法使いが居るという噂も
日毎に広まっている。
あらそう。早河がんばってるんだな。
-なんとなく皆、感じてるんだ。
僕らは樹に支配されてしまった、って。
吉野は愛花の墓前で、胸中で報告してる。
愛花を殺した犯人を捜す旅だったのに、
今ではとんでもなく大げさなことになっている、
世の中は随分変わった、と。
葉風が不意に、愛花はどんな娘だったのかと訊く。
「えーと…ほら!あの真広の妹ですから…」
それ、あんま答えになってないっしょ。
血も繋がってないんだし。
まぁそのわりに似たとこはあったけど。
「タチが悪そうな娘ってことか」
自分で振ったくせに、
そんな風にいわれれば、
吉野は気づいた顔で俯く。
「悪かったですね」
思い切り身内の反応だね。
愛花の彼氏に自分も一度会わせてくれと
葉風が改めて言う。
「あの真広の妹と隠れて付き合うとは
なんとも命知らずなヤツだ。
顔が見てみたい」
見てますけど、今。
-僕がその命知らずな彼氏なんですけどね。
ぷぷぷ。
ここの吉野の表情と、内山さんの言い方が絶妙でいいわー。
また改めて謝罪に来ると、葉風が愛花に話しかける。
死なせたのは自分かもしれないから。
「いや…私は、
いったいどれだけの命を犠牲にしてしまったのだ」
落ち込む葉風をそっと見ている吉野が
やさしげだな。
めぐむは考えていた。
富士に現れたのが本当に絶園の樹だというなら
完全に復活させれば世界が元に戻るかもしれない。
-僕がやれるのかな。
手の上に回転カッターの刃のような
赤いエネルギー体を生み出し浮かべる。
-でもそれが出来たら、
彼女が戻って着てくれるかもしれない。
ほんと笑えるよねぇ、この作品の若者たち。
世界の命運は、彼女、彼氏の件のついでなんだもの。
吉野が生まれ育った街を歩くというのは
葉風にとっても意味深いかもね。
吉野の思い出の詰まった街。
でも吉野は思い出したくないことの方が多いという。
葉風の足が止まって、吉野が振り向くと
落ち込んだように目を伏せてる葉風が居た。
今の葉風は誰よりはじまりの樹の力を恐れている。
吉野と真広が倒れた後、絶園の樹を抑え
はじまりの樹の動きを彼女は止めた。
葉風のせいじゃない。
こんなことになるなんて誰も予想できないと
吉野が葉風を慰める。
優しいのな、吉野は。
吉野は眠っていたから
実感として分からないだろうと葉風は言う。
たった7日。
破壊の跡がわずかに残るだけで
一週間で世界の大半が元に戻った。
金属化した死体も、はじまりの樹が吸収して消え去り
社会生活にも問題がなくなったらしい。
え…でも死体を吸収したってことは
やっぱり死んだ人は死んじゃったわけで
いくつか街ごとやられてるんだから
その数は膨大ですよね。
死体が消えて、見た目クリーンになっただけで
元に戻ってないよね。
葉風はたった7日で元に戻ったことに
むしろ恐怖を抱いている。
はじまりの樹の力を見誤っていた、と。
ただ一部が目覚めただけでこれだけの事が起きたのだから
完全覚醒すればどうなるのか。
「中途半端に目覚めたせいで
変に犠牲が出たのかもしれませんよ」
優しいなぁ吉野は。
見れば見るほど何が正しいのか分からなくなる。
心細さからか葉風の指が吉野の服の袖をつまむ。
ふふ、年相応の女の子らしい行動だ。
葉風がこういうことするの、きっと初めてだろうけど。
「お前の故郷も友人達も、こうして奪ってしまった。
他にもきっと…」
葉風が奪ったわけではないけど
はじまりの樹の姫としては、責任感じるわね。
こんなシチュなら、女慣れしてる子なら、
ギュッとハグしてやる所だろうけど
吉野ですからね、葉風の背に手をそっとかける程度で
「ここを離れましょう」
何を言っても気休めにしかならないものね。
余計なこといわないのも優しさだな。
「お正月なんですから。美味しい物でも食べましょうよ」
そう、落ち込んでる時には、
暖かくて美味しいもの食べると
少し元気出るよね。
「葉風が吉野に惚れた!?」
わー、真広がめっさ驚いてるー。
吉野だけ同行許したって時点で、想像つくだろが。
つかないのか真広は。
そっち系だけ鈍ちんなんだな。
じゃあやっぱ、ほんとに愛花と吉野の関係分かってないのか。
実は分かってるっぽいリアクション、
これまでに何度か見かけたけども
あれはそうじゃなかったのね。
あっ運転手は哲馬だ。
お元気そうでなにより。

「それがどういう感情であるか、
おそらく姫様は気づいてないだろう。
姫様はあれで、箱入り娘なのだ」
あれで、ね。
そう、ジャジャ馬さんだけど、
世間ずれはしてるのよね。
はじまりの樹に守られた姫宮。
だからこそあの富士山麓での窮地は、
彼女が初めて味わった逆境だった。
「お前がその状況に落とし込んだんだけどな!」
「そこを救ったのが、滝川吉野だ」
「…スルーかよ」
ぷぷぷ。
葉風さえ絶望した状況に果敢に立ち向かい
見事、道を切り開いた彼は
彼女にとって初めての
頼れる男だったというわけです。
「惚れん方がおかしい」
ですねー。
だとしても、ではそれが何故、
真広に吉野を殺せという話になるのか…。
こちらは電車で移動中の吉野と葉風。
葉風は旅に出たもう一つの目的を
吉野に打ち明ける。
絶園の樹を完全に復活させるには、
残りの果実を吸収させねばならない。
その所在を確かめるためにも
各地を回る必要があるってことらしい。
「葉風さん…」
「万一のためだっ」
葉風がぷいっと横を向く。
「姫様は揺れておられる」
揺れてるのは山本の胸じゃなくて?
これ、わざと被せてますよね。
カメラはお参りしてる山本の胸元映したりして。
自分の力を恐れ、
この先どうするべきか、葉風は迷ってる。
吉野の意見が今後大きく左右するだろうと
左門は懸念しているわけか。
吉野がはじまりの樹を覚醒すべきと言えばそうなり、
すべきでないと言えば、葉風はそうするだろう。
「惚れた弱みってヤツか」
「心を奪われるとは、そういうことだろう?」
まぁそうですが。
でも左門もそのあたりの経験は浅そうね。
「いまや姫様は、
滝川吉野中心に物事を考えているのだ」
「つまり、世界の命運は、
吉野が握っちまったってことか」
ちょっと面白くなさそうな顔ね、真広。
吉野達は尾の水に着いたようですね。
尾の水って、架空の町?
尾道かな。
駅で葉風がトイレに行くため離れると
「御免…ちょっといいかな」
めぐむが吉野に声をかけました。
-なっておらん…。
また吉野の前で情けないところを
見せてしまった。
ふふ、葉風ったら。
頼れる、好きな男の前だからこそ
素になれるってものですよ。
今のキミで正解なんだよ。
-そもそも吉野が私に従う義理も既にない。
未だ巻き込み、
余計な負担ばかりかけているのも
反省せねばならん。
でも傍にいて欲しいんでしょ?ふふ。
-いや、吉野も吉野だ!
あやつは人が良すぎる!
断るべき所は断れ!
そんなんだから私や真広に振り回されて
ひどい目に遭うのだ!
ぷぷぷ。責任転換してやがる。
でも葉風、あばたもえくぼになってますよ。
吉野はただ人が良いわけじゃなく
したたかな男だってこと、
貴女知ってた筈じゃないの。
貴方達に振り回されたのは事実かもだけど
吉野は自分で飛び込んだんですから。
真広はちゃんと遠ざけようとしたのよ。
貴女は知らないでしょうけどね。
真広より吉野の方が、ずっと計算高いわよ。
それも知ってる筈ですけどね、貴女。
-聞けばあやつ、彼女も居るというではないか。
私につき従ってる場合ではなかろう。
振られても知らんぞ!
うらなりめ!
あははは。
もぉおもろいわー葉風。
-しかし、吉野ほどの男の彼女だ。
良く出来た娘なのだろうな。
うわっ寂しそう~。
だがさすが姫様。
-ふんっ!私の知ったことか!
翻弄されてるなぁ。
ふふふ。
めぐむは目的地への行き方を訊ねていたのね。
でもそんなやりとりを遠目にみた葉風、
スッと眼光が鋭くなり、助走つけていきなり
足でめぐむの顔、蹴ったぁぁぁぁぁ!!

女の子は普通そういうことやりませんよ葉風ぇ。
その跳躍は素晴らしいが。
あぁでもこういう役、似合いすぎるわ梶さん。
めぐむは後方に吹っ飛びました。
呆気に取られてる吉野に、
「誰だ、あの男は!」
「えっ誰って!? 知らないのに蹴ったんですかっ!?」
胸騒ぎがしたからだってさ。
姫様に取っては、蹴るに十分の理由らしい。
そーですよねー。
「まずかったか?」
けろっと訊かれた吉野は、はぁと溜息を落とし
「まぁ仕方ありませんか」
-し、仕方無いんだ!?
ここのめぐむが笑えるー。
ご愁傷様、相手が悪いです。
吉野は乗り換えを訊かれていただけ。
めぐむは富士山目指してるのよね。
「はぁ?貴様は馬鹿か!?」
初対面で貴様呼ばわり、馬鹿呼ばわり。
めぐむ、ほんと相手悪かったって。
富士山麓はいまや立ち入り禁止です。
いわれてめぐむはしょぼんとうな垂れ、
両手を胸の前でコネコネ。
あの地に残った絶園の樹は
異変の原因のひとつと見なされて
許可されたもの以外は接近を禁じられてる。
また、周囲に葉風が半永久的な結界を張っており
各国から送り込まれた調査団も
絶園の樹に接触は出来ていない筈。
あ、調査団の一人で鎖を拾いましたね。
これは果実につながってた鎖かな。
何かの伏線かしら。
立ち入り禁止になってることは
流石にめぐむも知っている。
でもいかないといけない、というか…と
めぐむは立ち上がり、尻の砂を払いながら
言葉を濁す。
「あの…絶園の魔法使いの噂って知ってます?」
これには吉野と葉風も顔を見合わせる。
知ってるどころか、噂流してる張本人も知ってる。
それを聞いてめぐむは驚き、
でもそれなら話は早いと、二人の目の前で魔法を見せる。
「とにかく、僕がその
絶園の魔法使いみたいなんですよ」
これには吉野、葉風も息を呑みました。
で、ハンバーガーショップで、
話をすることにしたのね。
「いつその力に気づいた?」
葉風の言い方が威圧的で、
めぐむがちょい怯え気味ですよ。
気づいたのは一年くらい前。
急に身体から変な力が出せるようになり
絶園の樹が現れるようになった頃から
もっと強くはっきり使えるようになったのだと言う。
一年前といえば、左門が絶園の樹復活を本格化させた頃。
タイミングは合ってるようですね。
そこに絶園の魔法使いの噂を知って
このための力だとめぐむは思ったのだが
違うのかと逆に訊ねる。
「違うと言えば信じるのか?」
「えーと…困ります」
しょぼん。
「困るな!貴様の力は、この店まるごと半瞬で
消し去れるほどのものだぞ」
怖っ。
「うえっ!?」
自覚は全く無しですよ。
まぁ葉風のようにそういう環境で育ったわけじゃなく
ある日突然、力を得ただけなのだから
そりゃそーですよ。
世の理さえ砕く力を持ってるのにと、
葉風にしたら歯がゆいとは思うけどね、
あんま責めてやるな。
そう硬くならず、食べたらどうだと食事を勧めますが
めぐむが手を伸ばすとハンバーガーの前に結界。
そこにある筈なのに掴む事が出来ません。
おいおい、葉風ったら。
「貴様、魔法使いは自分一人だけだと思うか?」
絶園の樹側の魔法使いが居るなら
今この世界を支配している樹の側の魔法使いも居る筈。
「それが私だ」
あっさり告げましたね。
「うっ嘘っ!」
予想通りのリアクションだなぁ。
思わず立ち上がって驚いてるよ。
そしてそんなめぐむに、葉風は提案する。
魔法使い同士、手合わせをしてみないか、と。
こちらは参拝中の左門達。
吉野を殺せって話の続き、
まだ続いているんだったわね。
幸い吉野は葉風の恋心にまだ気づいておらず、
世界の命運を握った自覚もない。
だが吉野は、何かしら信じる事があれば
あらゆる物を犠牲にして突っ走りそうな怖さがある。
何かあれば、彼は迷わず葉風の背中を押すだろうと
左門は感じている。
「だから!そうなる前に
吉野を殺して排除しようってのか?」
真広の声がちょい怖い。
「そうならぬよう協力を頼んでいる」
早河が左門の前に庇うように立ったのは
真広が左門に噛み付くと思ったからかな。
「長い付き合いだと聞いた」
小学生の頃からですから、そりゃ長いですよ。
でも吉野が真広を知るほど
真広は吉野のことを分かってないよ多分。
溜め息混じりにわしゃわしゃと頭かいた真広が、
ふと気づいて立ち上がる。
「吉野の彼女は!?そっちは、無事なんだろうな?」
真広、優しいわね貴方。
そこを心配するなんて。
「そう聞いている。関わらせたくないのか
名前ひとつ教えてくれんがな」
教えれる筈もないけどね。
好きな女が生きているなら吉野も無茶はしないだろうと
真広は思う。
-心配ねぇか。
そんなに心配ですか、吉野のこと。ふふ。
真広達の会話を少し離れて聞いていた山本が
意味深な視線を向けてる。
その表情で分かったよ。
貴女、知ってるんだね。
彼女の事は誰にも話さないでくれと
山本に教えた上で、吉野は口止めしてたのね。
エレベーターの中で2人だけの時のやりとり。
葉風と旅に出る前に、そう言い置いたようです。
知ってる人が増えると、真広の耳にうっかり入る可能性が
高くなる。
『この状況で知られると、いかにも面倒でしょ』
そう言って振り返り、吉野は少し笑った。
山本も、確かには今は誰も知らない方がよいかも知れないと
考えている。
ただそんな吉野の心のうちは実際どうなっているのか。
うん…それが怖いんだよ。
「吉野対策に手を貸すぜ」
真広は飲み終えた缶コーヒーの缶をぐしゃりと
握りつぶした。
それ、アルミ缶?
缶コーヒーって結構スチール缶だよね。
スチール缶は男性でも握りつぶせないよね…。
その代わり、左門達は愛花を殺した犯人を見つける
条件をつけた。
「その取引でいいか」
取引なんだ。ぷぷ。
「分かった。あんたらの思い通りに動いてやるよ」
-吉野も恩に着ろよ。
ついでにお前を守ってやるよ。
ふふふ、ついでですかー。
キミにとって吉野は、
愛花 > 吉野 > 世界
って位置ですよね。
真広が離れると、早河が左門に訊く、
いつまで真広に隠しておくか、と。
いずれ真広も気づくだろうと左門。
「滝川吉野が、絶園の魔法使いである可能性に」
ええー、なんでそうなるわけ。
第一、もうめぐむが居るし。
まぁ左門達は知らないわけだが。
どこかの学校のグランド。
サッカーコートを拝借して、
葉風とめぐむが手合わせをするようです。
いきなり手合わせなんて危なくないかと
吉野が心配しますが、
めぐむがどれほどの力と知識を持っているか
結局、魔法を使わせてみないと分からない。
「それに、人を殺せるかどうかもな」
虫も殺せなさそうですよ、このヘタレ君。
はじまりの姫宮が負けるようなら
この世でめぐむに勝てる者は居ない。
だから案ずるなと葉風は言うが…。
え…、私、吉野はめぐむの方の
心配をしてるんだと思ったけど、違うのか?
ルールは簡単。
魔法を使って葉風の片膝でも地面に付けさせたら
めぐむの勝ち。
勝てばめぐむの知りたいことは全て教えてくれるってさ。
そしてめぐむの腕の片方でも逆方向に曲がったら
めぐむの負け。
うわー、めぐむ、フリーズしてるぞ。
葉風は弾丸を供物とし、魔法を展開。
防御フィールドと同時に攻撃用の触手うにょうにょ。
器用だなぁ。
めぐむは早速ひっくり返りました。
あー、この触手は防御フィールドの変形なのね。
別物ではないわけか。
めぐむ、こてんぱんではないか。あーあ。
でももし、めぐむが本物なら、
これくらいの魔法はたやすく破壊出来るはず。
-貴様に私を殺し、この世の理を変える力はあるのか。
さてこちらは左門達。
吉野の疑惑についてね。
吉野ははじまりの樹の理から
ことごとく外れた結果をもたらしている。
彼が富士に居なくても、葉風は現代に戻り得た。
鎖部一族の中に愛花を殺した犯人は見つからなかった。
その時点で、吉野が居ようが居まいが
葉風は絶園の魔法使い犯人説を導き出せた筈。
そうなれば真広は再度葉風と手を組み、
独力で時間の檻を破る方法を見つけるか
あるいは魔具を発動させるかして、
葉風を戻す選択をした筈。
「はじまりの樹はあの少年を必要としなかった。
逆にあの少年によって、はじまりの樹に不利な現状が
もたらされたのだ」
ふむ、確かにね。
お、めぐむが防御してるではないか。
上手く使えるようになってきたか?
-そうだ!魔法だ!
僕は魔法が使える。
あの人は確かめようとしてるんだ。
僕に世界を救う力があるか。
この先、戦う覚悟があるか。
あの人は多分、敵じゃない。
めぐむは深呼吸して、身を引き締める。
やれる気がしてきたようです。
遺伝子に組み込まれていたものが
次々と目覚めているような感覚を感じている。
「いきます!」
力いっぱい、走り出しました。
おー、葉風の触手を
それはもう通じないと、
回転赤カッター(勝手に命名)で切ってるー。
やるじゃないか。
そしてついには葉風の防御フィールドを破壊!?
防御で止めようとした葉風の右腕が塵となったよー。
ひぃえ~っ!!
凄いのは葉風が顔色ひとつ変えてないこと。
やっちまった本人が、腰抜かしてるのにね。
どうしようと手で顔を覆うめぐむに、
うろたえるなと葉風が一喝。
「この私が腕一本、再生出来んと思うか?」
す、すいません。
そうでしたね。
もうほとんど死んでる吉野の命すら
この世に留めたのですものね。
「肉が散ったぐらいで取り乱すな、軟弱もの」
いや普通は取り乱すってばよ。
で、不意打ちで触手ぱーんち。
空高く飛ばされためぐむは、落下して腕が…。
本当に逆方向に曲がったよ。
葉風は最初から、砕けたら再生する魔法を
かけていたらしい。
めぐむの反応を見るために。
あぁ、じゃあわざとやられたのか。
「力は確かに絶園のものだ。
だが、こやつに人は殺せんな」
あらゆる物を破壊して揺るがぬ絶園の心を
めぐむが持つとは思えない。
葉風はそういい、気絶しているめぐむの腕を
魔法で直してやる。
左門はまだ吉野の説明をしてましたか。
吉野はあえて状況を複雑にし
それらが何故か解決される異常性を突きつけ
はじまりの樹への不信感を葉風に抱かせた。
「そして…」
「その心まで奪っていった」
はじまりの樹の物語を狂わせその理を曲げた
イレギュラーな存在など、絶園の魔法使い以外、
まず考えられないというのが左門の見解。
吉野が絶園の魔法使いならば、
見事な仕事をしていることになる。
魔法を使わずに、はじまりの樹の理を歪め
その命運をほぼ握って見せた。
そんな風に早河と左門が話しながら車から降りると
先に駐車場に着いて待っていた山本の携帯が鳴った。
だが吉野が絶園の魔法使いなら
愛花を殺したのも吉野ということになる。
そこまでいいきれるだろうかと思案顔の左門に、
「ちょっといい?」
山本が戸惑った声で声を掛ける。
電話は吉野からだったようです。
「絶園の魔法使いが見つかったけど
そっちに寄越していいかって」
左門、憶測が外れましたね。
さぁどうします?
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前回の感想
#1
「絶園のテンペスト」#1【魔法使いは、樽の中】狂気な豊永さんが新鮮。
#2
「絶園のテンペスト」#2【彼女はとてもきれいだった、と少年は言った】
真広、ひょっとして知ってたりする?
#3
「絶園のテンペスト」#3【できないことは、魔法にもある】
クセになってきました。
#4
「絶園のテンペスト」#4【罰あたり、ふたり】
ちびの頃から全然変わってないのな、この2人…。
#5
「絶園のテンペスト」#5【全てのことには、わけがある】
どうなってるのーっ!?
#6
「絶園のテンペスト」#6【矛盾する、頭蓋】真広がいとしい…。
#7
「絶園のテンペスト」#7【ファースト・キス】
吉野さんと合うのは真広みたいなのです。ぷぷぷ。
#8
「絶園のテンペスト」#8【魔女を断つ、時間】衝撃的な事実…。
#9
「絶園のテンペスト」#9【彼氏】真広はつくづく面白いキャラ。
#10
「絶園のテンペスト」#10【タイムマシンのつくり方】
今回も笑わせて頂きました。
#11
「絶園のテンペスト」#11【時の娘】それは愛花のことかい?
#12
「絶園のテンペスト」#12【しばし天の祝福より遠ざかり……】
おいこら、こんなところで年越え!?
#13
「絶園のテンペスト」#13【夢の理】2週間待ったのに、これだけ?(泣)
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