「絶園のテンペスト」#19【願ったものは】なんだよ真広、カッコ良いじゃないか。
本日深夜にもう続きが放送されるというのに
今頃記事UPですみません。
先週末は一番くじ祭りでおおわらわだったもので。
それにしても真広のリアクションは意外でしたわー。
絶対吉野、半殺しにされると思ったのに。
思った以上に、真広は良い男でした。
※原作未読のくせに勝手にあれこれ想像して書いてます。
決して正しい回答ではありませんので
適当に流してくださいませ。
原作既読の方は、「そうじゃねーよ」と思われても
放置してやってください。
今はまだ、ネタバレ見たく無い気分なので。
宜しくお願い致します。
今頃記事UPですみません。
先週末は一番くじ祭りでおおわらわだったもので。

それにしても真広のリアクションは意外でしたわー。
絶対吉野、半殺しにされると思ったのに。
思った以上に、真広は良い男でした。

※原作未読のくせに勝手にあれこれ想像して書いてます。
決して正しい回答ではありませんので
適当に流してくださいませ。
原作既読の方は、「そうじゃねーよ」と思われても
放置してやってください。
今はまだ、ネタバレ見たく無い気分なので。
宜しくお願い致します。
![]() | 絶園のテンペスト 2【イベントチケット優先販売申込券付】(完全生産限定版) [DVD] (2013/02/27) 内山昂輝、豊永利行 他 商品詳細を見る |
![]() | 絶園のテンペスト(8) (ガンガンコミックス) (2013/01/22) 城平 京、彩崎 廉 他 商品詳細を見る |
絶園のテンペスト公式HP
OP~♪
-真広に言わなくちゃいけないことがある。
-吉野から聞かなきゃいけないことがある。
それぞれそう思いながら、街を行く。
ニュースで新たな魔法使いの出現を報道している。
あれからちょくちょく、あちこちで
絶園の魔法使いVS舞姫のバトルは行われているようです。
おや、最初のアナウンサーは諏訪部さんだよね。
めぐむは何気に成長しているではないか。
うんうん、頑張ってるね。
約束した以上、次に会う時は話さなきゃね吉野。
果実がまた現れたのか。
おぉメグ~。(違)
飛んでる果実の上でもバトルですか。
政府の通達で新たな魔法使いの名前を舞姫と呼称って。
ぷぷ。わざわざ政府が通達するんすか。
それ。葉風の希望でしょ。
凄いわねぇ。
一連の事件に関し、警察及び国防軍は静観していて
関係各省庁への批判が相次いでるってさ。
-吉野は…
-真広は…
覚えているだろうか。
そりゃ覚えてるでしょ。
ていうかそのことで頭いっぱいでしょ二人とも。
もうずっと前から。
ネットの掲示板やツイッターの話題は
絶園の魔法使いVS舞姫で持ちきり。
それをチェックしては、山本が嘆く。
「あーあ。あの姫様は
なんちゅうことをしてくれたんやぁ」
そういう貴女はなんちゅう口調になってるんやぁ。
おかげで政府もはじまりの樹破壊案に懐疑的だそうで。
早河の渋い声。
計画が狂いましたかお気の毒に。
いい加減葉風と合流したい。
溜息つく山本ですが、
目下のネックはあの二人だと早河。
真広ったら携帯も置いたまま出て行ったらしい。
吉野からの電話がそんなに怖いのかよ。
逃げたな。
問題ばかり増えていく。
山本はこれ以上は御免と言いたかったようですが
車が急ブレーキ…というか何かにぶつかった?
いや、張っていた結界が吹き飛んだらしい。
なにアンタ達、車に結界張って走っていたの?
どんだけ用心深いのよ。
ていうか、何に対して張ってたの、その結界。
結界壊したのは葉風。
道路の真ん中に立ってにこやかに手を振ってます。
「また問題が増えたわ」
姐さん、さっき合流したいって言ってたくせに。
こちらは真広。
吉野に会って、愛花の彼氏が誰だったか確認して
どうするつもりなのか、どうしたいのかと
自問自答ちぅ。
在りし日の愛花。
リビングのソファに胡坐かいて
カップ麺じゅるじゅる食ってます。
病弱な深窓の令嬢みたいな外見なのに
なんでこう格好も生活態度も雑なのか。
『それは中身が病弱な深窓の令嬢ではないからですよ』
まぁそうですわね。
真広こそ妹に自分の理想を押し付けようなんて
とんだ悪趣味だと愛花が返す。
今の愛花の姿の方が趣味悪いと真広は呆れますが、
『こういう私を認められたら、真広も一人前ですよ』
中学生とは思えぬ発言ですなぁ。
その調子じゃ当分彼氏は出来そうにないだろうと
真広は思ったみたいですけども、
既に居たわけですよ。
小倉あんが三つにクリームが三つ
豆乳クリームが二つ。
随分買うんだな吉野。手土産ですかー?
それ大判焼きかな。
で、店員がまた諏訪部さんだよね。
今回は色々やってるのな。
きっと、夏村の出番が少ないんだろう。
夏村声、好きだからいっぱい聞きたいのにぃ。
はじまりの樹の超兵器説に加えて
吉野の絶園の魔法使い疑惑。
でも葉風は特に驚く様子もない。
って、哲馬が凄い嫌そうな顔してて笑えるー。
そんなに葉風乗せるの嫌ですかキミは。
ぷぷぷ。嫌そうだけど、この顔可愛い。
言いたいことは分かるが、吉野に操られてるのだとしたら
わざわざめぐむを鍛えたりはしないと葉風。
丁度その話が出たところで、
しばらく舞姫は休んでくれないかと山本が言い出す。
「羽村君、ぼろぼろだから」
でしょうねー。
といっても、真広の代わりに今度は潤兄ぃが
めぐむをジムで鍛えてるみたい。
「考えるんじゃない、感じるんだ」
予告の台詞はここでしたか。
うわ、ノリノリだな潤兄ぃ。
さすがの潤兄ぃも尻に火がついたかと葉風は笑いますが
「どこぞの姫君のおかげですよ」
早河の嫌味に、果実を飛ばす協力もしたじゃないかと葉風。
へぇ、あれ、葉風が協力したんですか。
「左門殿は果実を飛ばす準備に一年も掛かったというのに」
おや哲馬、ちょい悔しそうね。
「だから私は姫様なのだよ、哲馬」
哲馬の顔がクッと険しくなる。
めっちゃ悔しそうだなぁ。
残る果実は一つ。
それを絶園の樹に吸収させない限り、
樹は完全復活しないし、めぐむの力も完全にはならない。
多忙の早河をつき合わせるのも忍びないので
場所を変えようと葉風が山本を誘う。
「貴様の説をゆっくり聞きたいのでな」
しばし葉風の顔を見ていた山本が
「喜んで」
明るい声で了承した。
惑星が、他の惑星に侵略する能力を奪うための文明破壊兵器。
「CIVILIZATION BLASTERとでも名づけましょうか」
文明がある段階に達すれば破壊するようプログラムされた
無人兵器。
その生命体が生まれた星だけで穏かに暮らすため、
宇宙にばら撒かれた超兵器。
それに対して付けられた名が、はじまりの樹。
鎖部一族も兵器システムの一環だろうと山本は読んでいる。
一族が供物として捧げる文明の産物をサンプルに
その文明レベルを判断しているのではないか。
黙って聞いていた葉風が、あまりに想像を外れた話だと返す。
「我々が使うのは魔法だぞ?
理を統べる超自然の力だぞ?
それを異星人の兵器だとするのはいくらなんでも…」
葉風の言葉に山本は、ノンノンと言いたげに
果物ナイフを横に振る。
あまりに進んだ科学は、魔法と区別がつかない。
自分達が魔法と呼び恐れる力は
未知の科学の産物でないとどうしていえるのか。
では絶園の樹はどう説明するのかと葉風が反論。
はじまりの樹の目的を妨害し破壊する樹が
何故同じ惑星に存在するのか。
二つの樹は最初から一つのものとしてデザインされ
同時に地球に現れたとした方がむしろ自然かもしれない。
となると超兵器説は無理筋ということになるが
発想の方向性としては正しいと思うと山本。
「あれが、どこかの何かが邪な意思を持って
私達の世界に侵入させたものだってことは」
わー、そんな話聞くとこの物語がまた何か
違うものに見えてきたわ。
そうなのぉ~?
吉野は真広に電話するも、一向に出てくれません。
うん、マンションに置きっぱだしね。
いくらかけても出ないさ。
「お土産、冷めちゃったな」
大判焼きは、フライパンかトースターで
表面をカリッと焼いた方が好きですー。
この間、会社で差し入れ貰ったんだけど
焼きたかったのでその場で食べずに
持ち帰った私。
焼いたらやっぱり美味かった。
冷めちゃったら、是非やってくださいな吉野。
あ、クリームは不向きかもだけどね。
餡の大判焼きは、焼くのお勧めだよ。
山本の説は、はじまりの姫君としては複雑な気分だが
同感でもあると言う葉風。
それでも今、はじまりの樹はまがりなりにも
葉風の制御を受けている。
「邪悪な意思があるにせよ、何故そこに住む者によって
制御が可能にされているのか、それも腑に落ちんしな」
確かにね。
そんな葉風をしげしげと見て、
ひとまず冷静に物を見られているようだと山本は認識する。
「で?吉野君とは上手くいってるの?」
はは、やっぱ聞いたか。
どうしてそういう話になるのだと葉風がむくれてるよ。
はじまりの樹が倒すべき侵略者なら、
その姫宮である葉風を殺すのは
絶園の魔法使いである吉野になるかもしれない。
「まだ吉野だという確証は無い」
反論しておきながらも、葉風はぽつりと声を落とす。
「だが…そうだな。それはそれで、悪くない」
あらら。
愛する男に殺されるなら本望ってか。
もうすっかり恋する乙女だなー。
そんな葉風の様子に、山本もひとまず要注意だと感じてる。
そうだね。
操られてるわけじゃないけど、
自らこうなっちゃってますからね葉風は。
-愛ゆえにこのお姫様は
最後の最後で何をやらかすか知れない。
惚れた男のために死ぬって結構甘美だからねぇ。
わぁ綺麗だこと。真っ赤なバラの中で眠る葉風~。
葉風が山本に頼みごとです。
富士山麓から、左門の樽と真広が使っていた
木彫りの人形を回収しろってさ。
え、また使うの、それ。
てか、左門の樽って…。
普通に樽でいいじゃん。通じるでしょ。
わざわざ左門の樽か。
ぷくくく。
真広はお墓に来ています。
何も答えない墓に何を願っているのかと
お参りしてる人々を眺めて思う。
何を祈るのか。
死んでから何を言っても、全部手遅れ。
墓に参って、何を慰められたがっているのか。
理屈に合わない。
そんなことをぶつぶつ思いながら、
真広は足を進める。
そして思い出す。
愛花の墓に手を合わせて
祈っていた吉野の姿を。
こういう所にくれば少しは気分も変わるかと
思ったらしいが、
やっぱり自分には場違いな場所だと
真広は溜息を吐く。
-俺はどう変わる事を望んだ。
頭をくしゃくしゃと掻いて、
「帰るか」
そう声にして振り向き、
戻ろうと歩き始めたが
「こんなところで知った顔にでも、出…」
ハッと驚いて息を呑む。
知った顔過ぎるわー。
吉野とバッタリ遭っちゃいましたよ。
むふふ。
逃げてたのにねぇキミ。
凄い偶然。
ううん、この世に偶然はないの。
あるのは必然だけ。
よっぽどキミら、強い絆で結ばれてるわけだ。
「なんでこんなところに居るんだ」
そりゃこっちの台詞だよ真広ぉ。
アンタの方が珍しいわけで。
「いやいや、それはこっちの台詞だって」
ほら、吉野もこう言ってる。
自分の家の墓参りもロクにしなかったのにね。
散歩だってよ。
散歩で墓には来ないでしょ普通。
で、吉野は何故ここに居るのか。
皆が二人を気遣って別行動しているから
悪いと思って、自分から真広に会いに来た。
手土産も持って近くまで来たわけですが、
「よりによってこんなトコでいきなり会うなんてなぁ」
何か繋がる相手ってのはさ、
離れていても、思わぬ所であったりする。
私も実際、あるんだよねぇそういうこと。
そういう時感じるよ、この人とはそういう運命なんだってね。
「俺もお前もうかつだな。
なんで気づかなかったんだか」
ハムレットでは、妹の死後、その兄とその恋人は
墓地でばったり再会する。
真広のその言葉で、彼が既に知っていると分かり
吉野は驚きます。
そうよね、それを告げるために会いにきたのにね。
もうバレちゃってますよ。
「約束だ。愛花の彼氏のこと、聞かせろよ。
ついでに、お前の彼女のことも。
話す手間は変わらないだろ?」
「そうだな、全く変わらない」
意外だわー真広。
随分落ち着いてるじゃないか。
で、大判焼きは冷めててまずかったようで。
だからー、マンション戻ってフライパンで焼こうよ。
「というわけで、僕が愛花ちゃんの彼氏なんだよ」
あっさり、バッサリ。
苦虫つぶしたような真広の顔が笑えます。
「いきなり、というわけで、で済ますなよ」
ははは。
最初からきっちり説明しろってさ。
「説明していいのか?」
「あ?」
いつから付き合って、どこにデートに行って
どこから手を繋ぐようになって、
いつごろキスするようになったのか。
「キスしたのかっ!?」
立ち上がって狼狽する真広。
「ぁああ愛花とキスしやがったのか!?」
可愛いなぁ真広。
吉野はしれっと大判焼き食ってるよ。
「俺の愛花に何してやがんだ!」
「おまへのじゃないって」もぐもぐ。
「お前のでもないだろ!」
ぷぷぷ。
「いや、この場合、僕の、という方が
正しくないか?」
吉野ったら、そんな真顔でー。
「だって僕は、正真正銘、愛花ちゃんの彼氏
なんだから」
強気だ。真広も反論出来ないわね。
ややこしい顔してますよ。
吉野、あんまり真広をいじめないでやって。
隠れてこそこそ付き合っていたのに
ここにきて開き直ってと真広は文句たれ。
「まぁ半殺しにされる覚悟で来たわけだから」にっこり。
そうね、私もキミはきっと半殺しにされるだろうと
思ってたよ。
少なくとも、パンチの一つや二つは食らうと思ったな。
「ほんとにお前が愛花の彼氏なんだよな」
「…彼氏なんだよ。それで、僕を殴らないのか?」
殴られるような事をしたのかと
真広の落ち着いた声が問う。
兄に隠れて付き合っていたわけだからと吉野が返すと
兄だからといって報告の義務は無いと
これがまた冷静な答えが返ってきた。
まぁ普通のケースならそうかもだけど、
真広と愛花の場合は、ねぇ。
愛花を脅して無理矢理付き合っていたわけでもなく…。
いやキミらの上下関係は確実に愛花が上でしたよね吉野。
だったら真広が吉野を殴る理由が無い。
理屈に合わない。
「俺は愛花にとって、何者でもなかったんだからな」
あぁ真広、切ないわ。
友達でもなく、良い兄だったこともなく
兄であることすらまともに認めたことも無かった。
ましてや恋人でもなく、好きだといったことも無い。
「俺は何も愛花に伝えてないんだ」
後悔してるんだよね真広。
伝えれなかったこと。
好きかどうかも、つい最近まで分かってなかった真広。
そんな自覚すらなかった。
「その俺が、
愛花が好きで付き合ってたヤツを
なんで殴る資格がある」
カッコ良いわー真広。うるる。
「理屈に合わねぇ。全然合わねぇよ」
深くため息を吐く。
「不合理すぎる」
愛花にも好きな男がいて、
その相手と楽しく過ごせていたなら
喜んでやるのが筋。
「それがお前なら、尚更だ」
良い男じゃないかーっ真広ー。
-真広は
強いな
ほんとだね、吉野。
「愛花は良い子だったろ?」
「性格は悪かったけどねぇ」
あははは。
「良い子だったろ!」
「胸は小さかったけどねぇ」
あはははは。
「彼氏だからって
何を言ってもいいわけじゃねぇぞ!」
くふふふふ。
帰る道すがら、そういえば、と真広。
富士で吉野が異常なぐらい葉風に肩入れしたのは
愛花が理由なのかと訊く。
察しがよいな、キミは。
あそこで何もしなかったら、
愛花の死が悲劇の為のものになる。
だからそれを止めようと思った。
今も、吉野はそのために動いているつもり。
真広が愛花の復讐のため、
何をしても構わない。
でも自分はせめて、
愛花の死によって
世界が救われる最後にしてみせると
吉野は言う。
「テンペスト、か」
真広だって知ってますよ吉野。
なにしろあの愛花の兄、やってたんですから。
真広は愛花を殺したヤツを許す気はない。
「たとえそれで悲劇で終わるとしてもだ」
「場合によっては僕らは敵同士か」
「愛花の彼氏と仲良くする義務もねぇだろ」
あらあら。
にしても、よく愛花と付き合ってたことを
隠していられたなと真広が感心する。
それは愛花がしっかりしていたから…。
「違うだろ。愛花が死んでからだ」
「あぁ…まぁ、なんとかね」
ふんと鼻を鳴らした真広ですが、
-無駄に強ぇヤツだよ。
互いが互いを強いヤツだと評価してるよ、
この二人ったら。
「真広こそ、よく僕を信用出来るな」
愛花が死んだ後も変わらず平然と暮らしてきた吉野を
本気で愛花と付き合っていたかと疑いそうなものなのに。
「お前が泣くも悲しむも、
俺の前ではしねぇヤツってのは知ってる。
俺も、お前の前では泣きも喚きもしてないだろ」
吉野がえっという顔で、瞳を揺らしてる。
「僕の前以外じゃ、泣いたりしたのか」
吉野にそう訊かれた真広の情けない表情が
なんともいえませんね。
『こういう私を認められたら真広も一人前ですよ』
中学生なのに生意気なことを言うなと
真広がげんなり顔で言い返したあの日。
その調子では当分彼氏は出来そうにないなと
彼女に告げつつ、胸中きっと真広は安心した。
そうなんでしょ?真広。
あの時のことを思い出して、
唇が震える。
「まったく…俺は本当に…本当に、
愛花のことが好きなんだな」
やだもぉ…なんて声ですか真広。
こっちが切なくなるじゃないか。
ちょっと考えた吉野が己を指差して
「やっぱり、一発くらい僕のこと殴っとくか?」
「殴るとしたら一発で済まねーよ」
ふふふふ。
おっ左門キタキタ。
夏村からの電話だよー。
わーい夏村の声も聞けたー。
姿付で会いたかったけどね。
少しは我慢するか。
夏村は真広と吉野が一緒にマンションに戻ってきたと報告。
「何っ!?わ、和解?」
ぷくくくっ。
声が裏返ってるー。
はいはい、こういう左門を待ってたよ。
やっぱ左門はこうでなきゃ。
葉風にも知らせたようですが
酷く慌てていたとのこと。
左門は明日戻るが何かあれば連絡するよう伝えて
電話を切った。
-本来なら二人の和解は
喜ぶべきことなのだが…
いったいどうなっている。
私はいつまでこんなことに
悩まされるのだ。
いやいや、悩まされていてよ。
私たちはそれ見て楽しむんだからー。
「真広!私の吉野に何もしなかったろうな!」
吉野の顔を自分の胸の谷間に押し付けて
姫様がのたまう。
「してねーよ。あと、いつから吉野は
お前のものになったんだ?」
「言葉のあやだ」
「それ、間違った使い方してねーか?」
ぷぷぷっ。真広の突っ込みの言い方がいいわー。
そんな三人のやりとりを離れて見てる夏村と山本が
三人の子供の父兄みたいだねぇ。
彼らを見る瞳が、なんか温かいんですけども。
人数が増えたからこっちの部屋は女子専用の寝室にするそうで、
真広がせっせと荷物運んでるのが凄いね。
「なんなら私と吉野専用の寝室でもいいぞ」
葉風ったら、積極的ー。
手を振って否定する吉野ですが、
「なんだ?愛花に義理立てしてるのか?」
「しなかったらお前、怒るだろ?」
あ、葉風がむくれてる。
それで吉野を殴っても、
理屈には合うだろうなと
真広はちょっと納得してみたり。
葉風は胸を吉野の腕にすりすりさせて
「殴られるくらいで済むなら、
私に手を出せ吉野。
存外、不破愛花より柔らかくて
堪らんかもしれんぞ」
葉風…凄いわね貴女って。
確かに愛花は骨っぽくて硬かった。
腕も牛蒡みたいに細かった。
なんて言っちゃうから、真広怒っちゃったじゃないか。
「おい吉野!人の妹を根菜で例えるな!」
根菜って…。
突っ込むとこそこかよ真広。
お、吉野が洗い物してるー。
料理は誰が作ったのかしら。
葉風はリビングでプリン食べてるの?
「これで良かったのか?」
「さぁな、お前こそ、これでいいのかよ。
吉野は多分、愛花しか見てねーぞ」
うん、確かに。
この世には叶わぬ恋の方が多いもの。
高望みはしない、と葉風。
「それに、私は自身の生まれと行いの責任を
とらねばならん」
責任感強いわね。
吉野も言ってたように、
キミに罪は無いと思うけどね。
そういえば葉風は愛花を殺した犯人を見つける手を
考え付いたらしい。
うまくいけば、真実を目にすることも出来るだろうと
葉風も応えてる。
「しかしそれがどんなものであれ
悲劇は止めねばならん」
「吉野のためにか?」
「他に何がある」
「そこは嘘でも世界のためと言っとけ。
左門が泣くぞ!」
「貴様が言うな」
ほんとだよ。
世界のためなどより惚れた男のための方が
迷わず事を選べる。
究極のところ、何かのためより
誰かのための方が
強くあれるのだと葉風はさっぱりした顔で言う。
まぁそれは分からなくないわね。
「真広、頼むぞ。
貴様も誰のための戦いか、見誤るなよ」
「俺は…俺のためにしか動かねーよ」
そんな彼らのやりとりを見ていためぐむは
一人で公園のブランコですかー。
「最強の魔法使い様が
なんとも頼りない顔をしてるじゃないの」
フォローに山本が登場。
みんな、信念に従って行動しているのは分かる。
でも何が正しいのか分からなくなった、とめぐむ。
真広、吉野、葉風の三人は強いけど
彼らが未来に願うのは
所詮叶わない夢。
失ったものに未練ばかり残し
行き止まりに向かって走るだけ。
死人に足を捕まれた子達に従うのが
果たして正しいのか。
左門と早河はどうなのかとめぐむが訊く。
あの二人は、なるべく多くの人間が
生き残る選択をしようとはしているが
そのためにはどんな犠牲が出ても構わないとも思っている。
「そんな連中が正しいなんて
私はとてもいえないわぁ」
そんな笑顔でいわれてもさ…。
でもそれぞれの正義なんて
立場が変わればただの悪い冗談。
「ようは、君自身はなんのために戦うか。
それだけ決めときなさい」
ふむ、山本、時々まとも。
お、リビングに全員集合ですか。
最後の果実わ飛ばす前に
確かめなければならないことがある、と葉風。
「いったい誰が不破愛花を殺したのか。
あるいは、そこに今の混乱した状況と
二つの大樹の真実があるとも思える」
あぁ吉野はまた、
愛花に思いをはせてるなー。
「そこで、私は再び過去に戻ろうと思う」
ええーっ?
「不破愛花の、殺される前の時間にな」
なんと!!
ED~♪
予告
あー、愛花と葉風がすれ違ってる。
愛花の口が動いて、葉風がはっとしてるわね。
愛花は葉風が未来から来ること
分かってた?
あー、そうか。
愛花が真広と吉野の運命を知ってたっぽいのは
こうして未来から来た葉風と接触したからか。
ちょっとなんとなく分かって来たかも。
◆グッズ
前回の感想
#1
「絶園のテンペスト」#1【魔法使いは、樽の中】狂気な豊永さんが新鮮。
#2
「絶園のテンペスト」#2【彼女はとてもきれいだった、と少年は言った】
真広、ひょっとして知ってたりする?
#3
「絶園のテンペスト」#3【できないことは、魔法にもある】
クセになってきました。
#4
「絶園のテンペスト」#4【罰あたり、ふたり】
ちびの頃から全然変わってないのな、この2人…。
#5
「絶園のテンペスト」#5【全てのことには、わけがある】
どうなってるのーっ!?
#6
「絶園のテンペスト」#6【矛盾する、頭蓋】真広がいとしい…。
#7
「絶園のテンペスト」#7【ファースト・キス】
吉野さんと合うのは真広みたいなのです。ぷぷぷ。
#8
「絶園のテンペスト」#8【魔女を断つ、時間】衝撃的な事実…。
#9
「絶園のテンペスト」#9【彼氏】真広はつくづく面白いキャラ。
#10
「絶園のテンペスト」#10【タイムマシンのつくり方】
今回も笑わせて頂きました。
#11
「絶園のテンペスト」#11【時の娘】それは愛花のことかい?
#12
「絶園のテンペスト」#12【しばし天の祝福より遠ざかり……】
おいこら、こんなところで年越え!?
#13
「絶園のテンペスト」#13【夢の理】2週間待ったのに、これだけ?(泣)
#14
「絶園のテンペスト」#14【あけましておめでとう】
別アニメみたいになりましたね。
#15
「絶園のテンペスト」#15【何やら企んでいるようであり】
こういう左門がまた見たかったんだ♪
#16
「絶園のテンペスト」#16【徘徊する亡霊】
やっぱり吉野はつくづく内山さんだわ。
#17
「絶園のテンペスト」#17【マリンスノー】やっとパレたか、バラしたか。
#18
「絶園のテンペスト」#18【舞姫】面白いからいいや。
※現在右クリックは利かない設定になってますので、
TBをいただけるようでしたら、
お手数ですがプラウザのコピーを利用してください。
(文字ドラッグして、編集↓コピー)
OP~♪
![]() | 大好きなのに(期間生産限定アニメ盤) (2013/02/13) Kylee 商品詳細を見る |
-真広に言わなくちゃいけないことがある。
-吉野から聞かなきゃいけないことがある。
それぞれそう思いながら、街を行く。
ニュースで新たな魔法使いの出現を報道している。
あれからちょくちょく、あちこちで
絶園の魔法使いVS舞姫のバトルは行われているようです。
おや、最初のアナウンサーは諏訪部さんだよね。

めぐむは何気に成長しているではないか。
うんうん、頑張ってるね。
約束した以上、次に会う時は話さなきゃね吉野。
果実がまた現れたのか。
おぉメグ~。(違)
飛んでる果実の上でもバトルですか。
政府の通達で新たな魔法使いの名前を舞姫と呼称って。
ぷぷ。わざわざ政府が通達するんすか。
それ。葉風の希望でしょ。
凄いわねぇ。
一連の事件に関し、警察及び国防軍は静観していて
関係各省庁への批判が相次いでるってさ。
-吉野は…
-真広は…
覚えているだろうか。
そりゃ覚えてるでしょ。
ていうかそのことで頭いっぱいでしょ二人とも。
もうずっと前から。
ネットの掲示板やツイッターの話題は
絶園の魔法使いVS舞姫で持ちきり。
それをチェックしては、山本が嘆く。
「あーあ。あの姫様は
なんちゅうことをしてくれたんやぁ」
そういう貴女はなんちゅう口調になってるんやぁ。
おかげで政府もはじまりの樹破壊案に懐疑的だそうで。
早河の渋い声。
計画が狂いましたかお気の毒に。
いい加減葉風と合流したい。
溜息つく山本ですが、
目下のネックはあの二人だと早河。
真広ったら携帯も置いたまま出て行ったらしい。
吉野からの電話がそんなに怖いのかよ。
逃げたな。
問題ばかり増えていく。
山本はこれ以上は御免と言いたかったようですが
車が急ブレーキ…というか何かにぶつかった?
いや、張っていた結界が吹き飛んだらしい。
なにアンタ達、車に結界張って走っていたの?

ていうか、何に対して張ってたの、その結界。
結界壊したのは葉風。
道路の真ん中に立ってにこやかに手を振ってます。
「また問題が増えたわ」
姐さん、さっき合流したいって言ってたくせに。
こちらは真広。
吉野に会って、愛花の彼氏が誰だったか確認して
どうするつもりなのか、どうしたいのかと
自問自答ちぅ。
在りし日の愛花。
リビングのソファに胡坐かいて
カップ麺じゅるじゅる食ってます。
病弱な深窓の令嬢みたいな外見なのに
なんでこう格好も生活態度も雑なのか。
『それは中身が病弱な深窓の令嬢ではないからですよ』
まぁそうですわね。
真広こそ妹に自分の理想を押し付けようなんて
とんだ悪趣味だと愛花が返す。
今の愛花の姿の方が趣味悪いと真広は呆れますが、
『こういう私を認められたら、真広も一人前ですよ』
中学生とは思えぬ発言ですなぁ。
その調子じゃ当分彼氏は出来そうにないだろうと
真広は思ったみたいですけども、
既に居たわけですよ。
小倉あんが三つにクリームが三つ
豆乳クリームが二つ。
随分買うんだな吉野。手土産ですかー?
それ大判焼きかな。
で、店員がまた諏訪部さんだよね。
今回は色々やってるのな。
きっと、夏村の出番が少ないんだろう。
夏村声、好きだからいっぱい聞きたいのにぃ。
はじまりの樹の超兵器説に加えて
吉野の絶園の魔法使い疑惑。
でも葉風は特に驚く様子もない。
って、哲馬が凄い嫌そうな顔してて笑えるー。
そんなに葉風乗せるの嫌ですかキミは。
ぷぷぷ。嫌そうだけど、この顔可愛い。

言いたいことは分かるが、吉野に操られてるのだとしたら
わざわざめぐむを鍛えたりはしないと葉風。
丁度その話が出たところで、
しばらく舞姫は休んでくれないかと山本が言い出す。
「羽村君、ぼろぼろだから」
でしょうねー。
といっても、真広の代わりに今度は潤兄ぃが
めぐむをジムで鍛えてるみたい。
「考えるんじゃない、感じるんだ」
予告の台詞はここでしたか。
うわ、ノリノリだな潤兄ぃ。
さすがの潤兄ぃも尻に火がついたかと葉風は笑いますが
「どこぞの姫君のおかげですよ」
早河の嫌味に、果実を飛ばす協力もしたじゃないかと葉風。
へぇ、あれ、葉風が協力したんですか。
「左門殿は果実を飛ばす準備に一年も掛かったというのに」
おや哲馬、ちょい悔しそうね。
「だから私は姫様なのだよ、哲馬」
哲馬の顔がクッと険しくなる。
めっちゃ悔しそうだなぁ。
残る果実は一つ。
それを絶園の樹に吸収させない限り、
樹は完全復活しないし、めぐむの力も完全にはならない。
多忙の早河をつき合わせるのも忍びないので
場所を変えようと葉風が山本を誘う。
「貴様の説をゆっくり聞きたいのでな」
しばし葉風の顔を見ていた山本が
「喜んで」
明るい声で了承した。
惑星が、他の惑星に侵略する能力を奪うための文明破壊兵器。
「CIVILIZATION BLASTERとでも名づけましょうか」
文明がある段階に達すれば破壊するようプログラムされた
無人兵器。
その生命体が生まれた星だけで穏かに暮らすため、
宇宙にばら撒かれた超兵器。
それに対して付けられた名が、はじまりの樹。
鎖部一族も兵器システムの一環だろうと山本は読んでいる。
一族が供物として捧げる文明の産物をサンプルに
その文明レベルを判断しているのではないか。
黙って聞いていた葉風が、あまりに想像を外れた話だと返す。
「我々が使うのは魔法だぞ?
理を統べる超自然の力だぞ?
それを異星人の兵器だとするのはいくらなんでも…」
葉風の言葉に山本は、ノンノンと言いたげに
果物ナイフを横に振る。
あまりに進んだ科学は、魔法と区別がつかない。
自分達が魔法と呼び恐れる力は
未知の科学の産物でないとどうしていえるのか。
では絶園の樹はどう説明するのかと葉風が反論。
はじまりの樹の目的を妨害し破壊する樹が
何故同じ惑星に存在するのか。
二つの樹は最初から一つのものとしてデザインされ
同時に地球に現れたとした方がむしろ自然かもしれない。
となると超兵器説は無理筋ということになるが
発想の方向性としては正しいと思うと山本。
「あれが、どこかの何かが邪な意思を持って
私達の世界に侵入させたものだってことは」
わー、そんな話聞くとこの物語がまた何か
違うものに見えてきたわ。
そうなのぉ~?
吉野は真広に電話するも、一向に出てくれません。
うん、マンションに置きっぱだしね。
いくらかけても出ないさ。
「お土産、冷めちゃったな」
大判焼きは、フライパンかトースターで
表面をカリッと焼いた方が好きですー。
この間、会社で差し入れ貰ったんだけど
焼きたかったのでその場で食べずに
持ち帰った私。
焼いたらやっぱり美味かった。
冷めちゃったら、是非やってくださいな吉野。
あ、クリームは不向きかもだけどね。
餡の大判焼きは、焼くのお勧めだよ。
山本の説は、はじまりの姫君としては複雑な気分だが
同感でもあると言う葉風。
それでも今、はじまりの樹はまがりなりにも
葉風の制御を受けている。
「邪悪な意思があるにせよ、何故そこに住む者によって
制御が可能にされているのか、それも腑に落ちんしな」
確かにね。
そんな葉風をしげしげと見て、
ひとまず冷静に物を見られているようだと山本は認識する。
「で?吉野君とは上手くいってるの?」
はは、やっぱ聞いたか。
どうしてそういう話になるのだと葉風がむくれてるよ。
はじまりの樹が倒すべき侵略者なら、
その姫宮である葉風を殺すのは
絶園の魔法使いである吉野になるかもしれない。
「まだ吉野だという確証は無い」
反論しておきながらも、葉風はぽつりと声を落とす。
「だが…そうだな。それはそれで、悪くない」
あらら。
愛する男に殺されるなら本望ってか。
もうすっかり恋する乙女だなー。
そんな葉風の様子に、山本もひとまず要注意だと感じてる。
そうだね。
操られてるわけじゃないけど、
自らこうなっちゃってますからね葉風は。
-愛ゆえにこのお姫様は
最後の最後で何をやらかすか知れない。
惚れた男のために死ぬって結構甘美だからねぇ。
わぁ綺麗だこと。真っ赤なバラの中で眠る葉風~。
葉風が山本に頼みごとです。
富士山麓から、左門の樽と真広が使っていた
木彫りの人形を回収しろってさ。
え、また使うの、それ。
てか、左門の樽って…。
普通に樽でいいじゃん。通じるでしょ。
わざわざ左門の樽か。
ぷくくく。
真広はお墓に来ています。
何も答えない墓に何を願っているのかと
お参りしてる人々を眺めて思う。
何を祈るのか。
死んでから何を言っても、全部手遅れ。
墓に参って、何を慰められたがっているのか。
理屈に合わない。
そんなことをぶつぶつ思いながら、
真広は足を進める。
そして思い出す。
愛花の墓に手を合わせて
祈っていた吉野の姿を。
こういう所にくれば少しは気分も変わるかと
思ったらしいが、
やっぱり自分には場違いな場所だと
真広は溜息を吐く。
-俺はどう変わる事を望んだ。
頭をくしゃくしゃと掻いて、
「帰るか」
そう声にして振り向き、
戻ろうと歩き始めたが
「こんなところで知った顔にでも、出…」
ハッと驚いて息を呑む。
知った顔過ぎるわー。

吉野とバッタリ遭っちゃいましたよ。
むふふ。
逃げてたのにねぇキミ。
凄い偶然。
ううん、この世に偶然はないの。
あるのは必然だけ。
よっぽどキミら、強い絆で結ばれてるわけだ。
「なんでこんなところに居るんだ」
そりゃこっちの台詞だよ真広ぉ。
アンタの方が珍しいわけで。
「いやいや、それはこっちの台詞だって」
ほら、吉野もこう言ってる。
自分の家の墓参りもロクにしなかったのにね。
散歩だってよ。
散歩で墓には来ないでしょ普通。
で、吉野は何故ここに居るのか。
皆が二人を気遣って別行動しているから
悪いと思って、自分から真広に会いに来た。
手土産も持って近くまで来たわけですが、
「よりによってこんなトコでいきなり会うなんてなぁ」
何か繋がる相手ってのはさ、
離れていても、思わぬ所であったりする。
私も実際、あるんだよねぇそういうこと。
そういう時感じるよ、この人とはそういう運命なんだってね。
「俺もお前もうかつだな。
なんで気づかなかったんだか」
ハムレットでは、妹の死後、その兄とその恋人は
墓地でばったり再会する。
真広のその言葉で、彼が既に知っていると分かり
吉野は驚きます。
そうよね、それを告げるために会いにきたのにね。
もうバレちゃってますよ。
「約束だ。愛花の彼氏のこと、聞かせろよ。
ついでに、お前の彼女のことも。
話す手間は変わらないだろ?」
「そうだな、全く変わらない」
意外だわー真広。
随分落ち着いてるじゃないか。
で、大判焼きは冷めててまずかったようで。
だからー、マンション戻ってフライパンで焼こうよ。
「というわけで、僕が愛花ちゃんの彼氏なんだよ」
あっさり、バッサリ。
苦虫つぶしたような真広の顔が笑えます。
「いきなり、というわけで、で済ますなよ」
ははは。
最初からきっちり説明しろってさ。
「説明していいのか?」
「あ?」
いつから付き合って、どこにデートに行って
どこから手を繋ぐようになって、
いつごろキスするようになったのか。
「キスしたのかっ!?」
立ち上がって狼狽する真広。
「ぁああ愛花とキスしやがったのか!?」
可愛いなぁ真広。
吉野はしれっと大判焼き食ってるよ。
「俺の愛花に何してやがんだ!」
「おまへのじゃないって」もぐもぐ。
「お前のでもないだろ!」
ぷぷぷ。
「いや、この場合、僕の、という方が
正しくないか?」
吉野ったら、そんな真顔でー。
「だって僕は、正真正銘、愛花ちゃんの彼氏
なんだから」
強気だ。真広も反論出来ないわね。
ややこしい顔してますよ。
吉野、あんまり真広をいじめないでやって。
隠れてこそこそ付き合っていたのに
ここにきて開き直ってと真広は文句たれ。
「まぁ半殺しにされる覚悟で来たわけだから」にっこり。
そうね、私もキミはきっと半殺しにされるだろうと
思ってたよ。
少なくとも、パンチの一つや二つは食らうと思ったな。
「ほんとにお前が愛花の彼氏なんだよな」
「…彼氏なんだよ。それで、僕を殴らないのか?」
殴られるような事をしたのかと
真広の落ち着いた声が問う。
兄に隠れて付き合っていたわけだからと吉野が返すと
兄だからといって報告の義務は無いと
これがまた冷静な答えが返ってきた。
まぁ普通のケースならそうかもだけど、
真広と愛花の場合は、ねぇ。
愛花を脅して無理矢理付き合っていたわけでもなく…。
いやキミらの上下関係は確実に愛花が上でしたよね吉野。
だったら真広が吉野を殴る理由が無い。
理屈に合わない。
「俺は愛花にとって、何者でもなかったんだからな」
あぁ真広、切ないわ。
友達でもなく、良い兄だったこともなく
兄であることすらまともに認めたことも無かった。
ましてや恋人でもなく、好きだといったことも無い。
「俺は何も愛花に伝えてないんだ」
後悔してるんだよね真広。
伝えれなかったこと。
好きかどうかも、つい最近まで分かってなかった真広。
そんな自覚すらなかった。
「その俺が、
愛花が好きで付き合ってたヤツを
なんで殴る資格がある」
カッコ良いわー真広。うるる。
「理屈に合わねぇ。全然合わねぇよ」
深くため息を吐く。
「不合理すぎる」
愛花にも好きな男がいて、
その相手と楽しく過ごせていたなら
喜んでやるのが筋。
「それがお前なら、尚更だ」
良い男じゃないかーっ真広ー。
-真広は
強いな
ほんとだね、吉野。
「愛花は良い子だったろ?」
「性格は悪かったけどねぇ」
あははは。
「良い子だったろ!」
「胸は小さかったけどねぇ」
あはははは。
「彼氏だからって
何を言ってもいいわけじゃねぇぞ!」
くふふふふ。
帰る道すがら、そういえば、と真広。
富士で吉野が異常なぐらい葉風に肩入れしたのは
愛花が理由なのかと訊く。
察しがよいな、キミは。
あそこで何もしなかったら、
愛花の死が悲劇の為のものになる。
だからそれを止めようと思った。
今も、吉野はそのために動いているつもり。
真広が愛花の復讐のため、
何をしても構わない。
でも自分はせめて、
愛花の死によって
世界が救われる最後にしてみせると
吉野は言う。
「テンペスト、か」
真広だって知ってますよ吉野。
なにしろあの愛花の兄、やってたんですから。
真広は愛花を殺したヤツを許す気はない。
「たとえそれで悲劇で終わるとしてもだ」
「場合によっては僕らは敵同士か」
「愛花の彼氏と仲良くする義務もねぇだろ」
あらあら。
にしても、よく愛花と付き合ってたことを
隠していられたなと真広が感心する。
それは愛花がしっかりしていたから…。
「違うだろ。愛花が死んでからだ」
「あぁ…まぁ、なんとかね」
ふんと鼻を鳴らした真広ですが、
-無駄に強ぇヤツだよ。
互いが互いを強いヤツだと評価してるよ、
この二人ったら。
「真広こそ、よく僕を信用出来るな」
愛花が死んだ後も変わらず平然と暮らしてきた吉野を
本気で愛花と付き合っていたかと疑いそうなものなのに。
「お前が泣くも悲しむも、
俺の前ではしねぇヤツってのは知ってる。
俺も、お前の前では泣きも喚きもしてないだろ」
吉野がえっという顔で、瞳を揺らしてる。
「僕の前以外じゃ、泣いたりしたのか」
吉野にそう訊かれた真広の情けない表情が
なんともいえませんね。
『こういう私を認められたら真広も一人前ですよ』
中学生なのに生意気なことを言うなと
真広がげんなり顔で言い返したあの日。
その調子では当分彼氏は出来そうにないなと
彼女に告げつつ、胸中きっと真広は安心した。
そうなんでしょ?真広。
あの時のことを思い出して、
唇が震える。
「まったく…俺は本当に…本当に、
愛花のことが好きなんだな」
やだもぉ…なんて声ですか真広。
こっちが切なくなるじゃないか。
ちょっと考えた吉野が己を指差して
「やっぱり、一発くらい僕のこと殴っとくか?」
「殴るとしたら一発で済まねーよ」
ふふふふ。
おっ左門キタキタ。
夏村からの電話だよー。
わーい夏村の声も聞けたー。
姿付で会いたかったけどね。
少しは我慢するか。
夏村は真広と吉野が一緒にマンションに戻ってきたと報告。
「何っ!?わ、和解?」
ぷくくくっ。
声が裏返ってるー。
はいはい、こういう左門を待ってたよ。
やっぱ左門はこうでなきゃ。
葉風にも知らせたようですが
酷く慌てていたとのこと。
左門は明日戻るが何かあれば連絡するよう伝えて
電話を切った。
-本来なら二人の和解は
喜ぶべきことなのだが…
いったいどうなっている。
私はいつまでこんなことに
悩まされるのだ。
いやいや、悩まされていてよ。
私たちはそれ見て楽しむんだからー。
「真広!私の吉野に何もしなかったろうな!」
吉野の顔を自分の胸の谷間に押し付けて
姫様がのたまう。
「してねーよ。あと、いつから吉野は
お前のものになったんだ?」
「言葉のあやだ」
「それ、間違った使い方してねーか?」
ぷぷぷっ。真広の突っ込みの言い方がいいわー。
そんな三人のやりとりを離れて見てる夏村と山本が
三人の子供の父兄みたいだねぇ。
彼らを見る瞳が、なんか温かいんですけども。
人数が増えたからこっちの部屋は女子専用の寝室にするそうで、
真広がせっせと荷物運んでるのが凄いね。
「なんなら私と吉野専用の寝室でもいいぞ」
葉風ったら、積極的ー。
手を振って否定する吉野ですが、
「なんだ?愛花に義理立てしてるのか?」
「しなかったらお前、怒るだろ?」
あ、葉風がむくれてる。
それで吉野を殴っても、
理屈には合うだろうなと
真広はちょっと納得してみたり。
葉風は胸を吉野の腕にすりすりさせて
「殴られるくらいで済むなら、
私に手を出せ吉野。
存外、不破愛花より柔らかくて
堪らんかもしれんぞ」
葉風…凄いわね貴女って。
確かに愛花は骨っぽくて硬かった。
腕も牛蒡みたいに細かった。
なんて言っちゃうから、真広怒っちゃったじゃないか。
「おい吉野!人の妹を根菜で例えるな!」
根菜って…。
突っ込むとこそこかよ真広。
お、吉野が洗い物してるー。
料理は誰が作ったのかしら。
葉風はリビングでプリン食べてるの?
「これで良かったのか?」
「さぁな、お前こそ、これでいいのかよ。
吉野は多分、愛花しか見てねーぞ」
うん、確かに。
この世には叶わぬ恋の方が多いもの。
高望みはしない、と葉風。
「それに、私は自身の生まれと行いの責任を
とらねばならん」
責任感強いわね。
吉野も言ってたように、
キミに罪は無いと思うけどね。
そういえば葉風は愛花を殺した犯人を見つける手を
考え付いたらしい。
うまくいけば、真実を目にすることも出来るだろうと
葉風も応えてる。
「しかしそれがどんなものであれ
悲劇は止めねばならん」
「吉野のためにか?」
「他に何がある」
「そこは嘘でも世界のためと言っとけ。
左門が泣くぞ!」
「貴様が言うな」
ほんとだよ。
世界のためなどより惚れた男のための方が
迷わず事を選べる。
究極のところ、何かのためより
誰かのための方が
強くあれるのだと葉風はさっぱりした顔で言う。
まぁそれは分からなくないわね。
「真広、頼むぞ。
貴様も誰のための戦いか、見誤るなよ」
「俺は…俺のためにしか動かねーよ」
そんな彼らのやりとりを見ていためぐむは
一人で公園のブランコですかー。
「最強の魔法使い様が
なんとも頼りない顔をしてるじゃないの」
フォローに山本が登場。
みんな、信念に従って行動しているのは分かる。
でも何が正しいのか分からなくなった、とめぐむ。
真広、吉野、葉風の三人は強いけど
彼らが未来に願うのは
所詮叶わない夢。
失ったものに未練ばかり残し
行き止まりに向かって走るだけ。
死人に足を捕まれた子達に従うのが
果たして正しいのか。
左門と早河はどうなのかとめぐむが訊く。
あの二人は、なるべく多くの人間が
生き残る選択をしようとはしているが
そのためにはどんな犠牲が出ても構わないとも思っている。
「そんな連中が正しいなんて
私はとてもいえないわぁ」
そんな笑顔でいわれてもさ…。
でもそれぞれの正義なんて
立場が変わればただの悪い冗談。
「ようは、君自身はなんのために戦うか。
それだけ決めときなさい」
ふむ、山本、時々まとも。
お、リビングに全員集合ですか。
最後の果実わ飛ばす前に
確かめなければならないことがある、と葉風。
「いったい誰が不破愛花を殺したのか。
あるいは、そこに今の混乱した状況と
二つの大樹の真実があるとも思える」
あぁ吉野はまた、
愛花に思いをはせてるなー。
「そこで、私は再び過去に戻ろうと思う」
ええーっ?
「不破愛花の、殺される前の時間にな」
なんと!!
ED~♪
![]() | 僕たちの歌(期間生産限定アニメ盤A) (2013/01/30) 佐香智久 商品詳細を見る |
![]() | 僕たちの歌(期間生産限定アニメ盤B) (2013/01/30) 佐香智久 商品詳細を見る |
予告
あー、愛花と葉風がすれ違ってる。
愛花の口が動いて、葉風がはっとしてるわね。
愛花は葉風が未来から来ること
分かってた?
あー、そうか。
愛花が真広と吉野の運命を知ってたっぽいのは
こうして未来から来た葉風と接触したからか。
ちょっとなんとなく分かって来たかも。
◆グッズ
![]() | 絶園のテンペスト ~THE CIVILIZATION BLASTER~ ファスナーアクセサリー 【滝川吉野&不破真広】 城平京・左有秀・彩崎廉 () 絶園のテンペスト 商品詳細を見る |
![]() | 絶園のテンペスト ~THE CIVILIZATION BLASTER~ クリアファイル () movic 商品詳細を見る |
前回の感想
#1
「絶園のテンペスト」#1【魔法使いは、樽の中】狂気な豊永さんが新鮮。
#2
「絶園のテンペスト」#2【彼女はとてもきれいだった、と少年は言った】
真広、ひょっとして知ってたりする?
#3
「絶園のテンペスト」#3【できないことは、魔法にもある】
クセになってきました。
#4
「絶園のテンペスト」#4【罰あたり、ふたり】
ちびの頃から全然変わってないのな、この2人…。
#5
「絶園のテンペスト」#5【全てのことには、わけがある】
どうなってるのーっ!?
#6
「絶園のテンペスト」#6【矛盾する、頭蓋】真広がいとしい…。
#7
「絶園のテンペスト」#7【ファースト・キス】
吉野さんと合うのは真広みたいなのです。ぷぷぷ。
#8
「絶園のテンペスト」#8【魔女を断つ、時間】衝撃的な事実…。
#9
「絶園のテンペスト」#9【彼氏】真広はつくづく面白いキャラ。
#10
「絶園のテンペスト」#10【タイムマシンのつくり方】
今回も笑わせて頂きました。
#11
「絶園のテンペスト」#11【時の娘】それは愛花のことかい?
#12
「絶園のテンペスト」#12【しばし天の祝福より遠ざかり……】
おいこら、こんなところで年越え!?
#13
「絶園のテンペスト」#13【夢の理】2週間待ったのに、これだけ?(泣)
#14
「絶園のテンペスト」#14【あけましておめでとう】
別アニメみたいになりましたね。
#15
「絶園のテンペスト」#15【何やら企んでいるようであり】
こういう左門がまた見たかったんだ♪
#16
「絶園のテンペスト」#16【徘徊する亡霊】
やっぱり吉野はつくづく内山さんだわ。
#17
「絶園のテンペスト」#17【マリンスノー】やっとパレたか、バラしたか。
#18
「絶園のテンペスト」#18【舞姫】面白いからいいや。
※現在右クリックは利かない設定になってますので、
TBをいただけるようでしたら、
お手数ですがプラウザのコピーを利用してください。
(文字ドラッグして、編集↓コピー)
スポンサーサイト