「絶園のテンペスト」#21【ファム・ファタール(運命の女)】意外にも、良い女だった。
毎度遅くてごめんなさい。
やっとこさ書けましたのでUPしておきます。
これもあと2,3話で終わりですよね。
遅れ遅れでも、なんとか完走したいところです。
愛花は、あんまり好きではなかったのですが
今回彼女のことが少し分かって
印象が変わりました。
意外にも、良い女だったわ。
※原作未読のくせに勝手にあれこれ想像して書いてます。
決して正しい回答ではありませんので
適当に流してくださいませ。
原作既読の方は、「そうじゃねーよ」と思われても
放置してやってください。
今はまだ、ネタバレ見たく無い気分なので。
宜しくお願い致します。
やっとこさ書けましたのでUPしておきます。
これもあと2,3話で終わりですよね。
遅れ遅れでも、なんとか完走したいところです。
愛花は、あんまり好きではなかったのですが
今回彼女のことが少し分かって
印象が変わりました。
意外にも、良い女だったわ。
※原作未読のくせに勝手にあれこれ想像して書いてます。
決して正しい回答ではありませんので
適当に流してくださいませ。
原作既読の方は、「そうじゃねーよ」と思われても
放置してやってください。
今はまだ、ネタバレ見たく無い気分なので。
宜しくお願い致します。
![]() | 絶園のテンペスト 3(完全生産限定版) [DVD] (2013/03/27) 内山昂輝、豊永利行 他 商品詳細を見る |
![]() | 絶園のテンペスト 2【イベントチケット優先販売申込券付】(完全生産限定版) [DVD] (2013/02/27) 内山昂輝、豊永利行 他 商品詳細を見る |
![]() | 絶園のテンペスト(8) (ガンガンコミックス) (2013/01/22) 城平 京、彩崎 廉 他 商品詳細を見る |
絶園のテンペスト公式HP
OP~♪
あらぁ、やっぱり姫さんが居ない間に大事件、
起きちゃいましたか。
突然現れた大樹…と、もう呼べる代物ではなくなってますが
海からまっすぐ伸びたそれは、
1m以上の幹で高さは成層圏を超えてるてるそうで。
これまで街のあちこちに生えてきていた大樹とは
桁違いということでございます。
気象や自転速度に影響を与えず
なんの前触れもなく突然現れた。
これがはじまりの樹の理を統べる力なのかと
早河は動揺を隠せない。
葉風が過去に飛んで最大級の樹が出現した。
はじまりの樹はどういう形であれ
これで終わりをもたらそうとしているのかと
潤兄ぃは考える。
さてこちらは焼き鳥の串を巨大な魔剣に変えた
絶園の魔法使い、愛花さん。
ほんと凄いね、その剣。
重そうなのに片手で持ってるのも凄い。
「不破…愛花…
お前が本物の!
完全なる絶園の魔法使いというのか!?」
本物も何も自分以外に絶園の力を持つものは
居ないと愛花は首をかしげる。
あ、串が戻った。
さっきから葉風の言葉には不可解な所がある、と
愛花は場所を変えることを提案。
ちゃんと話をしようと思うのね。
こんな所に入り込んで通報されても困るし、
内申に響くと吉野と同じ高校へいけなくなるから。
わぁ、それ、重要なのか愛花。しんみり。
「では、先に下りてますね」
屋上からひらり。
-一体、どうなっている!?
葉風思い切り混乱してますよー。
そして川の土手で日暮れまで話をしたわけですか。
ここは吉野にバレンタインのチョコを渡した場所だよね。
なるほど、と納得した愛花。
ため息をついて、
「私、今夜殺されるのかぁ」
驚かないのかよー。
そうと分かっていたなら、受験勉強など
しなくて済んだのにとぼやく。
ええっ、そこっ!?
真広に頭が悪いと嫌味を言われるのに耐え、
吉野と会う回数も減らしていたのに
とんだ時間の無駄だったと情けなく空を仰ぐ。
「私が言ったことを…信じるのか?」
葉風が姫宮なのは疑いようがない。
語られたはじまりの樹の反応も正しい。
それに愛花が死んだ後の真広と吉野に会っていなければ
知りようのないことも知っているから。
「明日、吉野さんとデートの約束だったんですけど…
守れなくなりましたね」
携帯を開いて、彼に送ったメールを見つめる。
でも吉野も何度も約束を破っているのだから
1回ぐらい構わない。
いや1回ぐらいって、でもこの先キミはもう彼と
約束も出来ない、会うことも出来なくなるのに
いいのかよ。
「お前は死を恐れんのか」
「死ぬのは嫌ですが、もっと嫌な事がありますから」
もしこのままはじまりの樹を破壊できなければ
10年以内に現代文明は滅ぼされる。
生き残れる人類はごくわずか。
文明は完全にリセットされるそうだ。
こちらは左門と早河。
あの巨大な樹は鎖部の伝承にもないらしい。
だが地球上でただ一箇所のみに出現したことから考えて
ひょっとしたら、はじまりの樹の
コアブロックなのかもしれないと左門。
「つまりは心臓部か」
同じようにマンションでも真広達がそのことを話してる。
その心臓部を破壊すれば、はじまりの樹は消滅するのか。
今のところその確証はないと山本が答える。
ただ早河が召集したスタッフが、
最近になってある仮説を打ち立てたらしい。
人類は、はじまりの樹という外部から送り込まれた支配者を
倒す意志を持てるか。
それを試すための最終試験という説。
「で?それにパスするには?」
強い意志を持ってはじまりの樹を倒せば合格。
文明にある一定の時期が来ても倒せなければ不合格。
そしてその時期は鎖部一族の捧げる供物によって判断される。
で、不合格の場合、文明はリセットされる。
何故そんなことをするのかとめぐむが問う。
その星の文明が、
はじまりの樹を独自にコントロール出来るようになるのを
防ぐためと考えられている。
「じゃあ絶園の樹は?」
絶園の樹は、はじまりの樹を作ったものにあらかじめ用意され
しかるべく使えば、はじまりの樹を必ず倒す剣だと
丁度、こっちでも愛花が葉風に説明してました。
本来ならば鎖部一族が絶園の樹復活を本格化させた時、
愛花が一族の所に出向いて真実を伝える筈だった。
だが愛花が今晩殺されることで、
その段取りが狂ったようだと愛花が淡々と言う。
では、めぐむは何なのか?
愛花が不慮の死を遂げたため
急いで起こされたバックアップの魔法使いだろうと
愛花が推測する。
絶園の魔法使いといえども肉体的には人間。
ある程度の年齢になれば、
新しい魔法使いに代替わりするようになっているらしい。
てことは、愛花ももし死なずに大人になっていたら
役目を終えて普通の娘になっていたってことか。
愛花が突然死んだため、
めぐむは不完全なまま目覚めた。
「なんということだ…」
頭を抱える葉風に、気に病むことはないと愛花。
騙されていたのは面白くないだろうが
結果的には正しい選択を葉風はしている。
こちらは説明を続けてる山本。
はじまりの樹が人類にとって
都合が良いものという伝承ばかりだと
試験にとってフェアじゃないから
それとなくその危険性を推測させる矛盾や情報を
わざといれておいた。
それを元に鎖部一族は樹を倒す判断をしたともいえる。
「じゃあ世界中に残る蛇神、竜神伝説も…」
めぐむの言葉を受けて、山本が返す。
実際、これまで人類は、
何度も再試験を繰り返して、
合格のための手がかりを残してきたのかもしれない、と。
だから樹を倒すために動いても
それを邪魔せず魔法も自由に使わせるというわけ。
「はじまりの樹は、倒されるために存在する神だからね」
「なんというふざけた話だ」
はじまりの樹は侵略兵器より
よほど邪悪な存在ではないかと
姫さんはお怒りです。
怒りはもっともだが樹を倒さなければ
人類は破滅し続けるというのは
間違いない。
ならば自分たちはその連中の望みに
従うしかないと、愛花が葉風をたしなめる。
どっちが年上だよって感じ…。
まぁこれは単に、知識のあるなしの差でもあるが。
「けど、吉野さんが絶園の魔法使いと疑われるなんて
愉快ですね」
愛花が楽しそうだ。
「あの人、悪意はないのに、
天然で悪い人だから」
おいおい。
ま、そのとおりかもだけど。
くすくす笑った愛花が、パッと明るい顔で
気持ちを切り替えようと葉風に近づく。
わー、背が高いのね、貴女。
「一緒にはじまりの樹を倒しましょう!」
「一緒にも何も、
お前は数時間後に何者かに殺されるのだぞ」
そうそう、一緒に、は無理です。
だが、と葉風は不審に思う。
既に力に目覚めてる愛花を誰が殺せるというのか。
それを聞いた愛花は、探偵役を買って出る。
殺せない筈の愛花が殺され
葉風が過去と未来を行ったり来たり。
真広は復讐を誓い、吉野には絶園の魔法使い疑惑。
「ほ、なるほど」
名探偵が閃いたようですよ。
事件の真相が見えたってさ。
愛花、変わった子だとは知ってましたが
吉野達に見せる顔とはまた違う方向で
変わってるな。
いまこそ謎を解き明かす、とか
えらく大袈裟に語ってみせてますが
「犯人は…」
「誰だと考えるのだ」
「……私です」
大真面目顔だよ。
結局、自殺なんですね。
うん、変だと思ったよ。
あんな綺麗な死体、異常すぎる。
誰かの手にかかったなら、
あんな姿で死んでる筈ないものね。
強盗の犯行と見せかけるために
まとまった金品を絶園の力で塵にし、
その後、自分を殺害したという手順だと
愛花はテキパキと語る。
魔法の力で自分を殺せば、
凶器も残らないし
自殺とは思えない死に方をすることも可能。
そして絶園の魔法使いである愛花が犯人だから
鎖部の魔法では犯人が見つからなかった矛盾も
解決される。
「いや…かもしれんがな?」
愛花のノリについていけないね、葉風。
うんうん。
私も今、ちょっとぽかん。
「あぁ!なんという驚くべき事件でしょう!
私が被害者であり、探偵であり、
犯人であったのです!」
オーバーアクションで、
まるで舞台劇でもしてるような愛花。
ほんと変な子だ。
「いやいや、何故お前が自分を殺さねばならんのだ」
本気にしていない葉風が訊くが
ハタと身体を戻した愛花が、
「自覚がないんですか?」
少し冷めた口調で訊く。
「私が死ぬことによって、
貴女がはじまりの樹を倒す決断を下す
ことになったんでしょ?」
その言葉に葉風がようやく気づく。
愛花の死によって、葉風は真広と繋がり
吉野と出会い、樹を倒す選択をした。
「つまり、貴女を真広と吉野さんに出会わせるために
私は死ななければならないんです」
そうなるよね。
愛花ははじまりの樹を倒すことが使命の
絶園の魔法使い。
「倒す道を開くために私の死が必要なら
自ら死を選ぶことは、
理屈にあっています」
なるほど。
何かが間違っていると葉風。
葉風は愛花が殺されたため過去に戻り
未来のことを愛花に教えることになった。
だがそのせいで愛花は自殺するという。
因果関係がおかしい。
原因と結果がねじれている。
ありえないと葉風は叫ぶが、
「時間を越えているんです。
そんな因果もありますよ」
愛花の言葉に葉風は自分の口からも
同じ言葉を吐いたことを思い出す。
そう、マッサージチェアに揺れながら
左門にそう言いましたよね、貴女。
「私がお前の死の原因…」
「違います。すべては私の意思で行うのです。
責任は私以外にありえません」
吉野と真広には、そう伝えておいてくれればいい。
ここがすべての始まりであり、終わりでもあったのだと愛花。
葉風は未来へ帰って、はじまりの樹を倒せば良いだけ。
死ぬまでにまだ時間があるから、冷蔵庫の中のミルフィーユを
食べておきたいとか、ほんと愛花ってば
なんでそんな淡々と普通にしてられるんだよ。
精神構造が、違うよなぁキミは。
葉風は納得しませんよ。
愛花が死んで、真広と吉野がどれほど悲しみ苦しんでいるか。
なのに愛花が絶園の魔法使いで、自らを殺す。
それでは真広は誰にも復讐が出来ず、
吉野も誰も憎めない。
二人はいつまで経っても新たな人生に進めなくなる。
「私は認めん!こんな物語があってたまるものか!
これは悲劇だ!お前が望んだテンペストの結末ではない!」
そう、身を投げて死ぬオフィーリアですよねぇ。
兄と恋人が友人で、どう見てもキミらの物語はハムレット。
それでも愛花は、これはテンペストの物語だと言う。
「私達は所詮、キャリバンなんですよ」
キャリバン。テンペストにおいて、
魔法使いとなるプロスペローが流された島に
もとから住んでいた醜い怪物。
プロスペローから言葉や知識を与えられ喜ぶが
自分の島をプロスペローに奪われ
奴隷同然に扱われるようになる。
キャリバンは復讐を考えるが
やがてプロスペローは島から出て行き、
最後にはキャリバンも幸せになる。
そんなキャリバンと自分達は同じ。
二つの樹を送り込んだ連中に
少しばかり特別な力と知識を与えられはしても
結局はその奴隷にすぎない。
復讐しようとしても無駄。
連中の望むようにすればとりあえず幸せに
終わるのだから。
「それを悲劇ではないと?
そんなことを吉野と真広に言えというのか!?」
「はい、あの二人ならわかってくれます」
真広は理屈とつじつまが合っていれば
泣き言を言わない。
吉野もきっと理解してくれる。
信頼してるのね、あの二人を。
「お前は!お前は何もわかっていない。
吉野はお前のために泣いたんだぞ!」
それまでずっと落ち着いていた愛花が、
この言葉に表情を歪ませ
葉風につかつかと近づくとグーパンチ。
ぐーだよ、ぐー。
女の子が女の子をぐーで殴るなんて!!
吹っ飛んだ葉風をまたいで胸倉つかみ
「貴女、吉野さんを泣かしましたね!?
人前で泣く人じゃないんですよ!
どうしてそんなに追い詰めたんです!」
泣く原因は愛花なのに何で殴るんだーと思ったけど
そうか、そうね。
キミは正しいかも。
でも、泣いたと聞いてすぐにそっちに意識がいくのは
凄いなと思うわ。
大人すぎる。
葉風は反論。
もともとの原因は愛花が死んだから。
二人をそれだけ思っていながら
どうして自殺という選択を迷わず行えるのか
葉風には到底理解出来ないようです。
「分かってないのは貴女の方です!
貴女はそれでも姫宮ですか!?」
「分かっていなくて構わん!」
うわー魔法で愛花を拘束したよ。
「例え理に反しようとも愛花!お前を屋敷には帰さん!」
防御フィールドを変形させて愛花を拘束した葉風。
「鍛え方が違うぞ小娘」
勝ち誇った笑みを浮かべてる。
いやいや、愛花は多分、こんなのすぐ解けると思うぞ。
鎖部一族にいくつもの制限のついた魔法しか
与えられていない理由を知っているのかと愛花が問う。
はじまりの樹を平和的なものと印象づけるため、
社会に悪影響を与えないため、
公権力とつながっても、支配的な地位を持たせないため
そして最大の理由が、
絶園の魔法使いを容易に束縛出来なくするため。
ほら、軽く束縛を解きましたよ。
そして何もない所から両手に剣を出す。
絶園の樹復活の兆しもないこの地で
どれほどやれるのかと葉風はニヤリと笑ってますが
供物が必要な貴女の方が不利でしょ、
こんな河原じゃ、文明の産物はそう転がってないし。
バッグの中から鎖を取り出したけど
それでどれだけ戦えるかな。
後先考えず、今は愛花を
どうやっても止めるつもりの葉風。
はい、バトル勃発です。
葉風が触手を武器にして愛花を襲いますが
愛花は宙に浮かんだまま、
華麗に両剣でサクサク斬ってる。
しかも余裕で他ごと考えてますよ。
-あぁ…面倒ですね。
吉野さんと真広が姫宮と変に仲良くなるから
こんなことになるんです。
あ、愚痴りだした。
-吉野さんもどうしてこう特殊な女性に好かれるのか。
人のこと言えた義理かーっ。
-まぁ、私も人のこと言えませんけど。
自覚してるか、よし。
-真広だってそんな意地を張って
復讐とかいうぐらいなら
普段から私に優しくすればいいのに。
いやいや死んだからこそ自分の気持ちに
気づいたってのもあるからね真広の場合。
-でも実際されたら気味が悪そうだから
やっぱりしなくていいですけど。
不憫だ、真広。
愛花は10歳にならないころから
絶園の魔法使いの自覚を持ち
力を使えるようになっていた。
そのことは力を使わずとも
彼女の周りに壁を作っていた。
愛花はあまりに世界を知りすぎていた。
だから周囲の者達は、無意識に彼女を恐れていた。
敬われることはあっても、
親しくされることはなく、
それに不満があったわけではないらしい。
でも、このニュアンスからいくと、
寂しさはあったということかな。
そんな状況下で、
吉野と真広は最初から愛花を恐れなかった。
それどころか普通の女の子のように
接してきた。
あー、それは大事にしたくなるわなぁ。
鈍感なのか頭の螺子がゆるいのか。
彼らには愛花が弱く見えたようで。
-困った人達ですよ。
いとおしそうに言うのね愛花。
きゅんと来ますよ。
冷静に考えないかと愛花が地に下りた。
「私が死なないと、どうなると思います?」
「だまれ!世界がどうなろうが、
文明がどうなろうが知らん!
私はそんな大層なものに命を張れるほど
出来た人間ではない!」
それは愛花も同感。
それらがどうなろうが構わないらしい。
「でもこのままでは、吉野さんや真広も
死んでしまうかもしれないんですよ」
本来なら、絶園の魔法使いが、間接的に樹の破壊を
誘導する行為は想定されていない。
やるべきではないのかもしれない。
「でも、吉野さんと真広の未来のためなら
私も命を懸けましょう」
ここにもいたよ、世界の命運より彼氏が大切なヤツが。
この作品の主要人物みんなそうなんだね。
「こんな私を、いつも守ろうとしてくれた、
あの二人の為ならば」
でも愛花のが一番重いかな。
本当に命、捧げてしまえるのだものね。
葉風はそれでも愛花を止めようとする。
「どうしても行くというのならぱ、
今この手でお前を殺してやる!!」
真広が怒りをぶつける相手を作らなきゃいけないからね。
でもそれではつじつまが合わない。
葉風のめいっぱいの攻撃を
愛花はものともせず破りながら突き進み
「まだ気づきませんか?
鎖部の魔法では、絶園の力には勝てないと」
葉風の防御フィールドさえも、素手で破る。
そのまま突き飛ばされて葉風は吹飛びました。
鎖部の魔法ははじまりの樹に供物を捧げることで
使えるようなるのに対し、
絶園の魔法はそのはじまりの樹の力が原動力となっている。
つまり葉風が力を使えば使うほど
愛花は強い魔法が使える。
勝ち目はないわけです。
「少しばかり眠っていてください」
愛花は葉風に衝撃を与えて失神させた。
「やれやれ、上手くいかないものです」
ぼやきながら、またハムレットを引用しかけたが、
吉野が気を悪くすると台詞を変える。
「ここはやはりテンペストからでしょう」
そうね、せめてテンペストね。
「近いうちに差し向かいでご不審を
解いて差し上げよう。
そうすれば、ここでの出来事はすべてなるほどと
納得なさるはずだ。
それまでは心楽しく、何ごとも良いほうに解釈なさい」
なかなか上手くハマる台詞があったものだね愛花。
ふと足を止めて、未来の彼らへと語りかける。
「納得してくださいよ、吉野さん。真広」
ここ、泣けた。
切ない…。
葉風が目を覚まし、慌てて腕時計を見ると
22:30を表示していた。
まだ間に合うと葉風は走るけど、
無理でしょうなぁ。
-頼む、愛花。
私に最後の機会をくれ!
飛んでいけば良いのに。
あぁ…手持ちの供物がもうないか。
そして屋敷に着いた時には、愛花はあの姿で
もう死んでいたのね。
どうしてこんなことになるのか。
自分が信じてきた理とは
なんだったのか。
-なんと呪われた因果か。
がっくりうなだれた葉風が
テーブルの上の手紙に目を留めた。
あぁ、愛花が書いて残しておいたんだな。
姫宮へ
私の遺体が発見された時、
こういうものは見つからなかったようですから
これは貴女が読み、手にしていることと思います。
封筒の中には吉野さんと真広へのメッセージが
入っています。
はじまりの樹を倒して全てが終わった後に
二人に見せてください。
では、お疲れ様です。
貴女が屋敷に来たという跡を残さないよう
気をつけてお帰りください。
不破愛花
これは泣けちゃう…。
なんだよ、愛花。
キミって、相当変な子だけど、
良い女だったんだな。
葉風は走って走って、不破家の墓の前。
まだ愛花はここに入ってないけどね。
「そうだ、分かっている。
私は帰らねばならん。
伝えねば…ならん。
倒さねばならん。
私は、逃げることは出来ん」
膝を着き、両手も着いて、ぼたぼたと涙を地に落とす。
「しかし…今は…」
少女らしい泣き声を
葉風は一人、あげた。
EDが被る~。
泣ける~。
ED映像の代わりに、
翌朝、警察が駆けつけて立ち入り禁止となった
屋敷も見せてくれますか。
葉風も野次馬に混ざって見ていたのね。
屋敷の窓に真広の姿を見つけて俯き、
場を離れる。
そして歩き始めた所で、走ってくる吉野と遭遇。
葉風の事など知らない、1年半前の吉野は
横をただ通り過ぎて行く。
吉野はこの後、変わり果てた愛花と対面するのね。
そして真広の前で、平常心を保つのか。
なにもかもが切ないね。
愛花も、葉風も、吉野も。
♪たとえ他の誰が笑っても
僕は強く信じてるから
今もずっとずっと願っているよ
二人で居る未来を
EDの歌詞が吉野の心情にハマり過ぎてて
泣けるんですが、
今日は更に泣けたわ。
愛花の気持ちを知ったから。
予告
「君も、君だーっ!!」
おや、めぐむが…。
みんなで殴り合い?
「本当に、おかしな人達ですね」
ちょっと泣いてるような笑いを含んだ声。
最近、花澤さんの演技、よく光るなぁ。
真実を知った真広と吉野が
どう反応するか、
楽しみです。
◆グッズ
前回の感想
#1
「絶園のテンペスト」#1【魔法使いは、樽の中】狂気な豊永さんが新鮮。
#2
「絶園のテンペスト」#2【彼女はとてもきれいだった、と少年は言った】
真広、ひょっとして知ってたりする?
#3
「絶園のテンペスト」#3【できないことは、魔法にもある】
クセになってきました。
#4
「絶園のテンペスト」#4【罰あたり、ふたり】
ちびの頃から全然変わってないのな、この2人…。
#5
「絶園のテンペスト」#5【全てのことには、わけがある】
どうなってるのーっ!?
#6
「絶園のテンペスト」#6【矛盾する、頭蓋】真広がいとしい…。
#7
「絶園のテンペスト」#7【ファースト・キス】
吉野さんと合うのは真広みたいなのです。ぷぷぷ。
#8
「絶園のテンペスト」#8【魔女を断つ、時間】衝撃的な事実…。
#9
「絶園のテンペスト」#9【彼氏】真広はつくづく面白いキャラ。
#10
「絶園のテンペスト」#10【タイムマシンのつくり方】
今回も笑わせて頂きました。
#11
「絶園のテンペスト」#11【時の娘】それは愛花のことかい?
#12
「絶園のテンペスト」#12【しばし天の祝福より遠ざかり……】
おいこら、こんなところで年越え!?
#13
「絶園のテンペスト」#13【夢の理】2週間待ったのに、これだけ?(泣)
#14
「絶園のテンペスト」#14【あけましておめでとう】
別アニメみたいになりましたね。
#15
「絶園のテンペスト」#15【何やら企んでいるようであり】
こういう左門がまた見たかったんだ♪
#16
「絶園のテンペスト」#16【徘徊する亡霊】
やっぱり吉野はつくづく内山さんだわ。
#17
「絶園のテンペスト」#17【マリンスノー】やっとパレたか、バラしたか。
#18
「絶園のテンペスト」#18【舞姫】面白いからいいや。
#19
「絶園のテンペスト」#19【願ったものは】
なんだよ真広、カッコ良いじゃないか。
#20
「絶園のテンペスト」#20【フーダニット(誰がやったか)】ほらやっぱりキミだった。
※現在右クリックは利かない設定になってますので、
TBをいただけるようでしたら、
お手数ですがプラウザのコピーを利用してください。
(文字ドラッグして、編集↓コピー)
OP~♪
![]() | 大好きなのに(期間生産限定アニメ盤) (2013/02/13) Kylee 商品詳細を見る |
あらぁ、やっぱり姫さんが居ない間に大事件、
起きちゃいましたか。
突然現れた大樹…と、もう呼べる代物ではなくなってますが
海からまっすぐ伸びたそれは、
1m以上の幹で高さは成層圏を超えてるてるそうで。
これまで街のあちこちに生えてきていた大樹とは
桁違いということでございます。
気象や自転速度に影響を与えず
なんの前触れもなく突然現れた。
これがはじまりの樹の理を統べる力なのかと
早河は動揺を隠せない。
葉風が過去に飛んで最大級の樹が出現した。
はじまりの樹はどういう形であれ
これで終わりをもたらそうとしているのかと
潤兄ぃは考える。
さてこちらは焼き鳥の串を巨大な魔剣に変えた
絶園の魔法使い、愛花さん。
ほんと凄いね、その剣。
重そうなのに片手で持ってるのも凄い。
「不破…愛花…
お前が本物の!
完全なる絶園の魔法使いというのか!?」
本物も何も自分以外に絶園の力を持つものは
居ないと愛花は首をかしげる。
あ、串が戻った。
さっきから葉風の言葉には不可解な所がある、と
愛花は場所を変えることを提案。
ちゃんと話をしようと思うのね。
こんな所に入り込んで通報されても困るし、
内申に響くと吉野と同じ高校へいけなくなるから。
わぁ、それ、重要なのか愛花。しんみり。
「では、先に下りてますね」
屋上からひらり。
-一体、どうなっている!?
葉風思い切り混乱してますよー。
そして川の土手で日暮れまで話をしたわけですか。
ここは吉野にバレンタインのチョコを渡した場所だよね。
なるほど、と納得した愛花。
ため息をついて、
「私、今夜殺されるのかぁ」
驚かないのかよー。
そうと分かっていたなら、受験勉強など
しなくて済んだのにとぼやく。
ええっ、そこっ!?

真広に頭が悪いと嫌味を言われるのに耐え、
吉野と会う回数も減らしていたのに
とんだ時間の無駄だったと情けなく空を仰ぐ。
「私が言ったことを…信じるのか?」
葉風が姫宮なのは疑いようがない。
語られたはじまりの樹の反応も正しい。
それに愛花が死んだ後の真広と吉野に会っていなければ
知りようのないことも知っているから。
「明日、吉野さんとデートの約束だったんですけど…
守れなくなりましたね」
携帯を開いて、彼に送ったメールを見つめる。
でも吉野も何度も約束を破っているのだから
1回ぐらい構わない。
いや1回ぐらいって、でもこの先キミはもう彼と
約束も出来ない、会うことも出来なくなるのに
いいのかよ。

「お前は死を恐れんのか」
「死ぬのは嫌ですが、もっと嫌な事がありますから」
もしこのままはじまりの樹を破壊できなければ
10年以内に現代文明は滅ぼされる。
生き残れる人類はごくわずか。
文明は完全にリセットされるそうだ。
こちらは左門と早河。
あの巨大な樹は鎖部の伝承にもないらしい。
だが地球上でただ一箇所のみに出現したことから考えて
ひょっとしたら、はじまりの樹の
コアブロックなのかもしれないと左門。
「つまりは心臓部か」
同じようにマンションでも真広達がそのことを話してる。
その心臓部を破壊すれば、はじまりの樹は消滅するのか。
今のところその確証はないと山本が答える。
ただ早河が召集したスタッフが、
最近になってある仮説を打ち立てたらしい。
人類は、はじまりの樹という外部から送り込まれた支配者を
倒す意志を持てるか。
それを試すための最終試験という説。
「で?それにパスするには?」
強い意志を持ってはじまりの樹を倒せば合格。
文明にある一定の時期が来ても倒せなければ不合格。
そしてその時期は鎖部一族の捧げる供物によって判断される。
で、不合格の場合、文明はリセットされる。
何故そんなことをするのかとめぐむが問う。
その星の文明が、
はじまりの樹を独自にコントロール出来るようになるのを
防ぐためと考えられている。
「じゃあ絶園の樹は?」
絶園の樹は、はじまりの樹を作ったものにあらかじめ用意され
しかるべく使えば、はじまりの樹を必ず倒す剣だと
丁度、こっちでも愛花が葉風に説明してました。
本来ならば鎖部一族が絶園の樹復活を本格化させた時、
愛花が一族の所に出向いて真実を伝える筈だった。
だが愛花が今晩殺されることで、
その段取りが狂ったようだと愛花が淡々と言う。
では、めぐむは何なのか?
愛花が不慮の死を遂げたため
急いで起こされたバックアップの魔法使いだろうと
愛花が推測する。
絶園の魔法使いといえども肉体的には人間。
ある程度の年齢になれば、
新しい魔法使いに代替わりするようになっているらしい。
てことは、愛花ももし死なずに大人になっていたら
役目を終えて普通の娘になっていたってことか。
愛花が突然死んだため、
めぐむは不完全なまま目覚めた。
「なんということだ…」
頭を抱える葉風に、気に病むことはないと愛花。
騙されていたのは面白くないだろうが
結果的には正しい選択を葉風はしている。
こちらは説明を続けてる山本。
はじまりの樹が人類にとって
都合が良いものという伝承ばかりだと
試験にとってフェアじゃないから
それとなくその危険性を推測させる矛盾や情報を
わざといれておいた。
それを元に鎖部一族は樹を倒す判断をしたともいえる。
「じゃあ世界中に残る蛇神、竜神伝説も…」
めぐむの言葉を受けて、山本が返す。
実際、これまで人類は、
何度も再試験を繰り返して、
合格のための手がかりを残してきたのかもしれない、と。
だから樹を倒すために動いても
それを邪魔せず魔法も自由に使わせるというわけ。
「はじまりの樹は、倒されるために存在する神だからね」
「なんというふざけた話だ」
はじまりの樹は侵略兵器より
よほど邪悪な存在ではないかと
姫さんはお怒りです。
怒りはもっともだが樹を倒さなければ
人類は破滅し続けるというのは
間違いない。
ならば自分たちはその連中の望みに
従うしかないと、愛花が葉風をたしなめる。
どっちが年上だよって感じ…。

まぁこれは単に、知識のあるなしの差でもあるが。
「けど、吉野さんが絶園の魔法使いと疑われるなんて
愉快ですね」
愛花が楽しそうだ。
「あの人、悪意はないのに、
天然で悪い人だから」
おいおい。
ま、そのとおりかもだけど。
くすくす笑った愛花が、パッと明るい顔で
気持ちを切り替えようと葉風に近づく。
わー、背が高いのね、貴女。
「一緒にはじまりの樹を倒しましょう!」
「一緒にも何も、
お前は数時間後に何者かに殺されるのだぞ」
そうそう、一緒に、は無理です。
だが、と葉風は不審に思う。
既に力に目覚めてる愛花を誰が殺せるというのか。
それを聞いた愛花は、探偵役を買って出る。
殺せない筈の愛花が殺され
葉風が過去と未来を行ったり来たり。
真広は復讐を誓い、吉野には絶園の魔法使い疑惑。
「ほ、なるほど」
名探偵が閃いたようですよ。
事件の真相が見えたってさ。
愛花、変わった子だとは知ってましたが
吉野達に見せる顔とはまた違う方向で
変わってるな。
いまこそ謎を解き明かす、とか
えらく大袈裟に語ってみせてますが
「犯人は…」
「誰だと考えるのだ」
「……私です」
大真面目顔だよ。
結局、自殺なんですね。
うん、変だと思ったよ。
あんな綺麗な死体、異常すぎる。
誰かの手にかかったなら、
あんな姿で死んでる筈ないものね。
強盗の犯行と見せかけるために
まとまった金品を絶園の力で塵にし、
その後、自分を殺害したという手順だと
愛花はテキパキと語る。
魔法の力で自分を殺せば、
凶器も残らないし
自殺とは思えない死に方をすることも可能。
そして絶園の魔法使いである愛花が犯人だから
鎖部の魔法では犯人が見つからなかった矛盾も
解決される。
「いや…かもしれんがな?」
愛花のノリについていけないね、葉風。
うんうん。
私も今、ちょっとぽかん。

「あぁ!なんという驚くべき事件でしょう!
私が被害者であり、探偵であり、
犯人であったのです!」
オーバーアクションで、
まるで舞台劇でもしてるような愛花。
ほんと変な子だ。
「いやいや、何故お前が自分を殺さねばならんのだ」
本気にしていない葉風が訊くが
ハタと身体を戻した愛花が、
「自覚がないんですか?」
少し冷めた口調で訊く。
「私が死ぬことによって、
貴女がはじまりの樹を倒す決断を下す
ことになったんでしょ?」
その言葉に葉風がようやく気づく。
愛花の死によって、葉風は真広と繋がり
吉野と出会い、樹を倒す選択をした。
「つまり、貴女を真広と吉野さんに出会わせるために
私は死ななければならないんです」
そうなるよね。
愛花ははじまりの樹を倒すことが使命の
絶園の魔法使い。
「倒す道を開くために私の死が必要なら
自ら死を選ぶことは、
理屈にあっています」
なるほど。
何かが間違っていると葉風。
葉風は愛花が殺されたため過去に戻り
未来のことを愛花に教えることになった。
だがそのせいで愛花は自殺するという。
因果関係がおかしい。
原因と結果がねじれている。
ありえないと葉風は叫ぶが、
「時間を越えているんです。
そんな因果もありますよ」
愛花の言葉に葉風は自分の口からも
同じ言葉を吐いたことを思い出す。
そう、マッサージチェアに揺れながら
左門にそう言いましたよね、貴女。
「私がお前の死の原因…」
「違います。すべては私の意思で行うのです。
責任は私以外にありえません」
吉野と真広には、そう伝えておいてくれればいい。
ここがすべての始まりであり、終わりでもあったのだと愛花。
葉風は未来へ帰って、はじまりの樹を倒せば良いだけ。
死ぬまでにまだ時間があるから、冷蔵庫の中のミルフィーユを
食べておきたいとか、ほんと愛花ってば
なんでそんな淡々と普通にしてられるんだよ。
精神構造が、違うよなぁキミは。
葉風は納得しませんよ。
愛花が死んで、真広と吉野がどれほど悲しみ苦しんでいるか。
なのに愛花が絶園の魔法使いで、自らを殺す。
それでは真広は誰にも復讐が出来ず、
吉野も誰も憎めない。
二人はいつまで経っても新たな人生に進めなくなる。
「私は認めん!こんな物語があってたまるものか!
これは悲劇だ!お前が望んだテンペストの結末ではない!」
そう、身を投げて死ぬオフィーリアですよねぇ。
兄と恋人が友人で、どう見てもキミらの物語はハムレット。
それでも愛花は、これはテンペストの物語だと言う。
「私達は所詮、キャリバンなんですよ」
キャリバン。テンペストにおいて、
魔法使いとなるプロスペローが流された島に
もとから住んでいた醜い怪物。
プロスペローから言葉や知識を与えられ喜ぶが
自分の島をプロスペローに奪われ
奴隷同然に扱われるようになる。
キャリバンは復讐を考えるが
やがてプロスペローは島から出て行き、
最後にはキャリバンも幸せになる。
そんなキャリバンと自分達は同じ。
二つの樹を送り込んだ連中に
少しばかり特別な力と知識を与えられはしても
結局はその奴隷にすぎない。
復讐しようとしても無駄。
連中の望むようにすればとりあえず幸せに
終わるのだから。
「それを悲劇ではないと?
そんなことを吉野と真広に言えというのか!?」
「はい、あの二人ならわかってくれます」
真広は理屈とつじつまが合っていれば
泣き言を言わない。
吉野もきっと理解してくれる。
信頼してるのね、あの二人を。
「お前は!お前は何もわかっていない。
吉野はお前のために泣いたんだぞ!」
それまでずっと落ち着いていた愛花が、
この言葉に表情を歪ませ
葉風につかつかと近づくとグーパンチ。

ぐーだよ、ぐー。
女の子が女の子をぐーで殴るなんて!!

吹っ飛んだ葉風をまたいで胸倉つかみ
「貴女、吉野さんを泣かしましたね!?
人前で泣く人じゃないんですよ!
どうしてそんなに追い詰めたんです!」
泣く原因は愛花なのに何で殴るんだーと思ったけど
そうか、そうね。
キミは正しいかも。
でも、泣いたと聞いてすぐにそっちに意識がいくのは
凄いなと思うわ。
大人すぎる。
葉風は反論。
もともとの原因は愛花が死んだから。
二人をそれだけ思っていながら
どうして自殺という選択を迷わず行えるのか
葉風には到底理解出来ないようです。
「分かってないのは貴女の方です!
貴女はそれでも姫宮ですか!?」
「分かっていなくて構わん!」
うわー魔法で愛花を拘束したよ。
「例え理に反しようとも愛花!お前を屋敷には帰さん!」
防御フィールドを変形させて愛花を拘束した葉風。
「鍛え方が違うぞ小娘」
勝ち誇った笑みを浮かべてる。
いやいや、愛花は多分、こんなのすぐ解けると思うぞ。
鎖部一族にいくつもの制限のついた魔法しか
与えられていない理由を知っているのかと愛花が問う。
はじまりの樹を平和的なものと印象づけるため、
社会に悪影響を与えないため、
公権力とつながっても、支配的な地位を持たせないため
そして最大の理由が、
絶園の魔法使いを容易に束縛出来なくするため。
ほら、軽く束縛を解きましたよ。
そして何もない所から両手に剣を出す。
絶園の樹復活の兆しもないこの地で
どれほどやれるのかと葉風はニヤリと笑ってますが
供物が必要な貴女の方が不利でしょ、
こんな河原じゃ、文明の産物はそう転がってないし。
バッグの中から鎖を取り出したけど
それでどれだけ戦えるかな。
後先考えず、今は愛花を
どうやっても止めるつもりの葉風。
はい、バトル勃発です。
葉風が触手を武器にして愛花を襲いますが
愛花は宙に浮かんだまま、
華麗に両剣でサクサク斬ってる。
しかも余裕で他ごと考えてますよ。
-あぁ…面倒ですね。
吉野さんと真広が姫宮と変に仲良くなるから
こんなことになるんです。
あ、愚痴りだした。
-吉野さんもどうしてこう特殊な女性に好かれるのか。
人のこと言えた義理かーっ。
-まぁ、私も人のこと言えませんけど。
自覚してるか、よし。
-真広だってそんな意地を張って
復讐とかいうぐらいなら
普段から私に優しくすればいいのに。
いやいや死んだからこそ自分の気持ちに
気づいたってのもあるからね真広の場合。
-でも実際されたら気味が悪そうだから
やっぱりしなくていいですけど。

愛花は10歳にならないころから
絶園の魔法使いの自覚を持ち
力を使えるようになっていた。
そのことは力を使わずとも
彼女の周りに壁を作っていた。
愛花はあまりに世界を知りすぎていた。
だから周囲の者達は、無意識に彼女を恐れていた。
敬われることはあっても、
親しくされることはなく、
それに不満があったわけではないらしい。
でも、このニュアンスからいくと、
寂しさはあったということかな。
そんな状況下で、
吉野と真広は最初から愛花を恐れなかった。
それどころか普通の女の子のように
接してきた。
あー、それは大事にしたくなるわなぁ。
鈍感なのか頭の螺子がゆるいのか。
彼らには愛花が弱く見えたようで。
-困った人達ですよ。
いとおしそうに言うのね愛花。
きゅんと来ますよ。
冷静に考えないかと愛花が地に下りた。
「私が死なないと、どうなると思います?」
「だまれ!世界がどうなろうが、
文明がどうなろうが知らん!
私はそんな大層なものに命を張れるほど
出来た人間ではない!」
それは愛花も同感。
それらがどうなろうが構わないらしい。
「でもこのままでは、吉野さんや真広も
死んでしまうかもしれないんですよ」
本来なら、絶園の魔法使いが、間接的に樹の破壊を
誘導する行為は想定されていない。
やるべきではないのかもしれない。
「でも、吉野さんと真広の未来のためなら
私も命を懸けましょう」
ここにもいたよ、世界の命運より彼氏が大切なヤツが。
この作品の主要人物みんなそうなんだね。
「こんな私を、いつも守ろうとしてくれた、
あの二人の為ならば」
でも愛花のが一番重いかな。
本当に命、捧げてしまえるのだものね。
葉風はそれでも愛花を止めようとする。
「どうしても行くというのならぱ、
今この手でお前を殺してやる!!」
真広が怒りをぶつける相手を作らなきゃいけないからね。
でもそれではつじつまが合わない。
葉風のめいっぱいの攻撃を
愛花はものともせず破りながら突き進み
「まだ気づきませんか?
鎖部の魔法では、絶園の力には勝てないと」
葉風の防御フィールドさえも、素手で破る。
そのまま突き飛ばされて葉風は吹飛びました。
鎖部の魔法ははじまりの樹に供物を捧げることで
使えるようなるのに対し、
絶園の魔法はそのはじまりの樹の力が原動力となっている。
つまり葉風が力を使えば使うほど
愛花は強い魔法が使える。
勝ち目はないわけです。
「少しばかり眠っていてください」
愛花は葉風に衝撃を与えて失神させた。
「やれやれ、上手くいかないものです」
ぼやきながら、またハムレットを引用しかけたが、
吉野が気を悪くすると台詞を変える。
「ここはやはりテンペストからでしょう」
そうね、せめてテンペストね。
「近いうちに差し向かいでご不審を
解いて差し上げよう。
そうすれば、ここでの出来事はすべてなるほどと
納得なさるはずだ。
それまでは心楽しく、何ごとも良いほうに解釈なさい」
なかなか上手くハマる台詞があったものだね愛花。
ふと足を止めて、未来の彼らへと語りかける。
「納得してくださいよ、吉野さん。真広」
ここ、泣けた。
切ない…。
葉風が目を覚まし、慌てて腕時計を見ると
22:30を表示していた。
まだ間に合うと葉風は走るけど、
無理でしょうなぁ。
-頼む、愛花。
私に最後の機会をくれ!
飛んでいけば良いのに。
あぁ…手持ちの供物がもうないか。
そして屋敷に着いた時には、愛花はあの姿で
もう死んでいたのね。
どうしてこんなことになるのか。
自分が信じてきた理とは
なんだったのか。
-なんと呪われた因果か。
がっくりうなだれた葉風が
テーブルの上の手紙に目を留めた。
あぁ、愛花が書いて残しておいたんだな。
姫宮へ
私の遺体が発見された時、
こういうものは見つからなかったようですから
これは貴女が読み、手にしていることと思います。
封筒の中には吉野さんと真広へのメッセージが
入っています。
はじまりの樹を倒して全てが終わった後に
二人に見せてください。
では、お疲れ様です。
貴女が屋敷に来たという跡を残さないよう
気をつけてお帰りください。
不破愛花
これは泣けちゃう…。
なんだよ、愛花。
キミって、相当変な子だけど、
良い女だったんだな。
葉風は走って走って、不破家の墓の前。
まだ愛花はここに入ってないけどね。
「そうだ、分かっている。
私は帰らねばならん。
伝えねば…ならん。
倒さねばならん。
私は、逃げることは出来ん」
膝を着き、両手も着いて、ぼたぼたと涙を地に落とす。
「しかし…今は…」
少女らしい泣き声を
葉風は一人、あげた。
EDが被る~。
泣ける~。
![]() | 僕たちの歌(期間生産限定アニメ盤A) (2013/01/30) 佐香智久 商品詳細を見る |
![]() | 僕たちの歌(期間生産限定アニメ盤B) (2013/01/30) 佐香智久 商品詳細を見る |
ED映像の代わりに、
翌朝、警察が駆けつけて立ち入り禁止となった
屋敷も見せてくれますか。
葉風も野次馬に混ざって見ていたのね。
屋敷の窓に真広の姿を見つけて俯き、
場を離れる。
そして歩き始めた所で、走ってくる吉野と遭遇。
葉風の事など知らない、1年半前の吉野は
横をただ通り過ぎて行く。
吉野はこの後、変わり果てた愛花と対面するのね。
そして真広の前で、平常心を保つのか。
なにもかもが切ないね。
愛花も、葉風も、吉野も。
♪たとえ他の誰が笑っても
僕は強く信じてるから
今もずっとずっと願っているよ
二人で居る未来を
EDの歌詞が吉野の心情にハマり過ぎてて
泣けるんですが、
今日は更に泣けたわ。
愛花の気持ちを知ったから。
予告
「君も、君だーっ!!」
おや、めぐむが…。
みんなで殴り合い?
「本当に、おかしな人達ですね」
ちょっと泣いてるような笑いを含んだ声。
最近、花澤さんの演技、よく光るなぁ。
真実を知った真広と吉野が
どう反応するか、
楽しみです。
◆グッズ
![]() | 絶園のテンペスト ~THE CIVILIZATION BLASTER~ クリアファイル () movic 商品詳細を見る |
![]() | 絶園のテンペスト ~THE CIVILIZATION BLASTER~ ファスナーアクセサリー 【滝川吉野&不破真広】 城平京・左有秀・彩崎廉 () 絶園のテンペスト 商品詳細を見る |
![]() | 絶園のテンペスト ~THE CIVILIZATION BLASTER~ クリアファイル () movic 商品詳細を見る |
前回の感想
#1
「絶園のテンペスト」#1【魔法使いは、樽の中】狂気な豊永さんが新鮮。
#2
「絶園のテンペスト」#2【彼女はとてもきれいだった、と少年は言った】
真広、ひょっとして知ってたりする?
#3
「絶園のテンペスト」#3【できないことは、魔法にもある】
クセになってきました。
#4
「絶園のテンペスト」#4【罰あたり、ふたり】
ちびの頃から全然変わってないのな、この2人…。
#5
「絶園のテンペスト」#5【全てのことには、わけがある】
どうなってるのーっ!?
#6
「絶園のテンペスト」#6【矛盾する、頭蓋】真広がいとしい…。
#7
「絶園のテンペスト」#7【ファースト・キス】
吉野さんと合うのは真広みたいなのです。ぷぷぷ。
#8
「絶園のテンペスト」#8【魔女を断つ、時間】衝撃的な事実…。
#9
「絶園のテンペスト」#9【彼氏】真広はつくづく面白いキャラ。
#10
「絶園のテンペスト」#10【タイムマシンのつくり方】
今回も笑わせて頂きました。
#11
「絶園のテンペスト」#11【時の娘】それは愛花のことかい?
#12
「絶園のテンペスト」#12【しばし天の祝福より遠ざかり……】
おいこら、こんなところで年越え!?
#13
「絶園のテンペスト」#13【夢の理】2週間待ったのに、これだけ?(泣)
#14
「絶園のテンペスト」#14【あけましておめでとう】
別アニメみたいになりましたね。
#15
「絶園のテンペスト」#15【何やら企んでいるようであり】
こういう左門がまた見たかったんだ♪
#16
「絶園のテンペスト」#16【徘徊する亡霊】
やっぱり吉野はつくづく内山さんだわ。
#17
「絶園のテンペスト」#17【マリンスノー】やっとパレたか、バラしたか。
#18
「絶園のテンペスト」#18【舞姫】面白いからいいや。
#19
「絶園のテンペスト」#19【願ったものは】
なんだよ真広、カッコ良いじゃないか。
#20
「絶園のテンペスト」#20【フーダニット(誰がやったか)】ほらやっぱりキミだった。
※現在右クリックは利かない設定になってますので、
TBをいただけるようでしたら、
お手数ですがプラウザのコピーを利用してください。
(文字ドラッグして、編集↓コピー)
スポンサーサイト